過去ログ - 律「うぉっちめん!」
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58:律「うぉっちめん!」[sage saga]
2012/05/28(月) 14:54:57.09 ID:yc3eS1Xy0
 
男と紬が交差しようとする刹那の寸前、和は咄嗟に紬に抱きつき、道路へ押し倒した。
身を起こした紬がまず眼を遣ったのは、左腋下から背中に掛けて大きな切創を負い血を流す和。
そして、包丁を握る息の荒い男。

紬「和ちゃん!」

男「ムギ、お前も俺の物になるんだよ。唯みたいに……! ほらァ!」ダッ

紬「!?」

男は改めて紬に向かって突進する。
紬は包丁から身をかわすと、地面に突き立つ鉄製の車止めポールを素早く引き抜き、男の顔面に
狙いをつけた。

紬「ええい!」ブゥン

男「ぶっ!」

フルスイングされた鉄製ポールは男の鼻っ柱を的確に打ち抜いた。
男は大きく吹き飛ばされ、玄関前の石段に背中を叩きつけられたところで、数名の男性
社員に取り押さえられた。
内出血で変色し、腫れ上がる顔面。噴水の如く吹き出す鼻血。それでも男は紬を舐めるように
見つめる事をやめようとしない。
紬は鉄製ポールを放り投げ、和のもとに駆け寄ると、彼女の身体を抱きかかえた。

紬「和ちゃん! しっかりして! 和ちゃん!」

和「だ、大丈夫よ…… かすっただけ……」

菫「お姉ちゃ―― 社長! 大丈夫ですか!?」オロオロ

紬「私の事より和ちゃんが! 早く救急車を呼んで! 早く!」

眉根を寄せて倒れる和。
顔面蒼白で立ち尽くす菫。
錯乱気味に声を上げる紬。
更には通行人やビル内から出て来る社員が騒然とする中、組み伏せられている男は紬を見つめ
続けている。

男「クソッ、もう少しだったのに…… もう少しでムギも永遠に俺の物だったのに! ムギ!
  愛してるよ! ちくしょう! 離せェ!」

そのわめき声を耳にした紬は立ち上がると、ゆっくりと男へ近づいた。
拳は固く握られ、歯はギリギリと食いしばられている。

紬「あなたが、唯ちゃんを殺したのね……?」

男「ヘヘヘ、そうだよ? 唯は永遠に俺の物になったんだ。髪の毛も経血も食べてやった。
  次はお前、その次は澪、その次は、ヒヒヒ……! みんな、俺の物に―― ぶへェ!」

男の言葉が終わらないうちに、紬の憎しみによって握り締められた拳が彼を殴りつけた。

紬「このケダモノ! 唯ちゃんを返して! 返してよぉ!!」ドガッ バキッ

菫「ああ、お姉ちゃん…… お姉ちゃん……」ガタガタ

警備員「社長! おやめ下さい!」

常務「いけません! それ以上は過剰防衛になります! あとは警察に任せましょう!」

紬「唯ちゃんを返してぇ!!」



再び、律と憂が向かい合うハンバーガーショップ。
ポケットの中の携帯電話が震え、律に着信を知らせる。
律は、ウンザリ気味の憂に配慮する事も無く、携帯電話を耳に当てた。

律「誰だよ。え? ムギの? はあ…… 何だって!? 嘘だ! そんな訳があるか!」

おそらく一分にも満たない短い通話だっただろう。
会話とは言えない不可解な反応の後、律は通話の終わった携帯電話をポケットにしまった。

憂「あ、あの…… どうかしたんですか?」

単純な驚き。それと正体不明の不安感。憂は何事か尋ねずにいられなかった。
無言のまま爪を噛んでいた律であったが、やがて渋々といった調子でボソリと呟いた。

律「……犯人が捕まった。唯を殺した犯人が」


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