過去ログ - 律「うぉっちめん!」
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59:律「うぉっちめん!」[sage saga]
2012/05/28(月) 14:59:18.53 ID:yc3eS1Xy0
 
憂「ええっ!? 本当ですか!?」

律「ああ。ムギの秘書って奴からの電話だ。ついさっき、唯を殺した野郎がムギを襲ったらしい。
  でも、逆にムギにブチのめされて逮捕されたって……」

憂「逮捕、された……」

律「そんな馬鹿な……」

憂「……!」

律の一言が憂の顔色を変えさせた。これまでに無い怒りの色を強く表している。
それもそうだろう。せっかく憎い犯人が捕まったのだ。本来であれば喜ぶべきところなのに、
そんな筈が無い、とでも言いたげな態度なのだから。
尋常ではない執念で犯人探しをしていた張本人であるにも関わらず、である。
憂はもう、一秒でもこの場にいたくなかった。こんな狂人と向かい合っていたくなかった。

憂「すみません。私、そろそろ失礼します」ガタン

律「おい、待て」

席を立って出入口に向かおうとする憂。
そうはさせじと彼女の手を掴む律。
しかし、自分を引き留める手にも、その手の持ち主である律にも、憂は一瞥もくれようとしない。
すべては既に終わっていたのだ。

憂「お姉ちゃんは帰って来ないけれど…… せめて、司法が犯人を極刑にしてくれる事を願います。
  だから、律さんも、もう……」

律「唯は自伝を書こうとしていた。鈴木純に協力を頼んでいたんだ。その事について何か
  見たり聞いたりしてないか? それが真犯人に繋がる糸口かもしれないんだよ」

度し難い。救いようの無い。
フウとひとつ吐かれた憂の溜息がそう物語っていた。

憂「いい加減にして下さい……!」

律の手を強引に振りほどき、憂は荒い足取りでハンバーガーショップを後にした。
一人残された律はただ視線を落とす。
紙ナプキンとトマトケチャップのロールシャッハ・カードに。
血まみれの唯の顔に。



唯『もしもし。りっちゃん、寝てた?』

律『うんにゃ、起きてたよ。どした?』

唯『あのね、純ちゃんのコラムを読んだんだけど……』

律『唯〜、あいつの記事はもう読むなって言ったじゃんか。いちいち腹立ててたらキリが
  無いんだからさ』

唯『でもでもっ! ひどいんだよ! “平沢唯在籍時の前期放課後ティータイムの人気は、
  失礼ながらアイドルのそれに他ならない”なんて書いてるんだよ! もう何年も前の事
  なのに……』

律『いや、もうその放課後ティータイムも解散しちゃったようなもんだろ? 澪の奴がソロ
  アルバムなんて出して、バンドとしての新譜やライブの話も無くなったし。私や梓は
  どうすりゃいいんだよ。ったく』

唯『でも……』

律『あ、そういえばさ。この前出た唯のアルバム、良かったよ。ケルト音楽とかアンデス音楽
  とかはあんまり詳しくないけど、唯の歌やギターとピッタリ合ってた。あれ、すごいな。
  今の事務所に移って正解だったんだよ』

唯『全然、売れてないんだよね…… テレビやラジオでも掛けてもらえないし…… どうして
  なんだろう……』

律『そ、それは、ほら、あれだよ。売れてりゃ良い音楽とは限んないだろ? わかる人には
  わかるってヤツだよ』

唯『澪ちゃんのソロアルバムはあんなに大人気なのに……』

律『澪は澪、唯は唯だぞ。私はちゃんと唯の音楽の良さをわかってるからさ。それに比べて
  私なんか、ソロやりたくったってそんな実力も無いし、新しいバンド組みたくったって
  声掛けてくれる奴もいないし――』


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