過去ログ - 女神・2
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/24(木) 21:42:32.03 ID:t/gaNw6Qo
「正直に言うとね。最初は先輩のことあたしの話をよく聞いてくれて相談に乗ってくれるいい先輩としか思っていなかった」
 彼女はそう言って、今度は僕の手を自分の指でなぞるように撫で始めた。思わずその感覚に心を取られそうになった僕は気を引き締めて彼女の話に集中しようと努力した。

 今でも僕は自分の置かれた境遇を心から信じ切れていなかった。だから僕は自分の心の安らぎを求めるためには妹が今語りだした妹の心境の変化を聞くしかないと思った。それで僕は自分の手に感じている心地よい違和感を半ば無理に意識の外に締め出した。

「でもね。先輩って自分のことはあまり話さないであたしの話ばかりを聞いてくれてたでしょ? あたし、先輩に話を聞いてもらっているうちに自分が本当は何をしたいのかが整理できて、それで先輩には本当に感謝したんだけど」

「そうなの」

「だけどね、自分の気持が整理できたら今度は先輩が何を考えてあたしの話を親切に聞いてくれているのか、それがすごく気になるようになちゃった。ほら、あたし最初に先輩に酷いこと言ったじゃない? 誰とも付き合う気はないって」

 それはよく覚えていた。でももともと彼女と付き合えるなんて期待すらしていなかった僕は、その時は妹のその言葉にそれほど傷付くことはなかったのだ。

「おまえ何様だよ? って感じだよね。あんな思い上がったことを先輩に言うなんて。先輩、あの時は本当にごめんなさい」

「・・・・・・無理はないと思うよ。僕なんかに君が気になるとか気持ち悪いこと言われたら、君だってそれくらいは釘刺しておこうって思うのは当然だよ」

「何で先輩って、すぐに僕なんかとかって自分を卑下したような言い方するの?」
 今までの優しい表情に変って妹は少し憤ったような顔で僕に聞いた。

「何でって・・・・・・」

「先輩はもう少し自分に自信を持った方がいいと思うよ」

 僕は黙って頷いた。妹はもう少し何かを話したそうだったけど結局回想の続きを話し始めた。


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