34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/25(金) 23:08:55.79 ID:PdUYNQhqo
その翌日妹はきっかり七時半に僕を迎えに来た。玄関まで迎えに出た母さんに礼儀正しくあいさつした妹は、母さんの後ろからぎこちなくおはようと声をかけた僕を見て少し笑った。
「おはよう先輩」
「じゃあ気をつけていってらっしゃい」
母さんはそれだけ行って家の中に入ってしまった。玄関前に取り残された僕たちはしばらくぎこちなく向かい合って黙っていた。
「行こ」
先に沈黙を破ったのは妹の方だった。彼女は少し上気した顔で僕の手を握ってさっさと歩き出した。僕は親に手を引かれる子どものように妹の後をついていったのだった。
まだ登校時間には早かったけどそれでも部活の朝練に向う生徒の姿は結構あって、その中で手を握り合って登校する三年生と一年生のカップルはやはり人目を引いているようだった。
「あたしね」
妹はまだ顔を赤くしていたけど、周囲の生徒たちの視線を気にしている様子は全くなかった。
「今朝お姉ちゃんに電話したの。これからは朝部活があるから一緒に登校できないって」
妹は何かを期待しているかのように僕の方を見上げて言った。そういえば以前副会長から聞いた話では、妹はこれまでは兄君と幼馴染さん、そして兄友君と四人で一緒に登校していたのだった。兄君はいち早くその輪から抜け出して、多分今では女と一緒に登校しているのだろう。そして妹は残った三人と一緒に登校するより付き合い出したばかりの僕と一緒に登校することを選んでくれたのだ。
僕がそんなことを考えながら妹の方を見ると、彼女はまだ何かを待っているかのように僕の方を見つめていた。
・・・・・・ああ、そうか。僕は慌てて妹に言った。
「よかった。じゃあ、これからは二人で一緒に登校できるんだね」
期待通りの反応だったのか妹は僕の言葉に満足そうにうなずいた。よかった。僕は妹の期待を裏切らずに返ができたようだった。僕は何とか正解を答えることができたのだ。
「パソコン部でも朝練ってあるの?」
妹が無邪気に聞いた。
「あるわけないさ」
僕は妹の質問に思わず少し笑ってしまった。「体育系の部活じゃないんだし・・・・・・それにみんな夜中まで家でパソコンの前に座りっぱなしだし、朝早く登校するやつなんていないさ」
「ふーん。じゃあ授業が始まるまで部室で一緒にお話ししない?」
「別にいいけど。まあ確かに朝の部室なんて誰もいないからちょうどいいかもね」
「・・・・・・先輩のエッチ」
妹は何か誤解したみたいで顔を赤くして僕に言った。でも、それは決して怒っているような口調ではなかった。
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