35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/25(金) 23:12:01.20 ID:PdUYNQhqo
こうして始った僕と妹との交際は普通の恋人同士が辿るであろう道を模範的になぞっているかのようだった。お互いに甘えあったりお互いに相手に自分を好きと言わせようとしたりすねてみたり、そんな他愛もない駆け引きをしているだけですぐに時間は去っていってしまうようだった。妹は前から他人が僕たちを眺める視線には無頓着だったけど、今では僕も妹に夢中になっていたから、もはや他人の視線を気にすることすらなくなっていた。いくら生徒数の多いマンモス校とはいえ朝からべったり寄り添っている三年生と一年生のカップルは周囲の注目を引いたと思う。昔の僕ならそういう好奇心に溢れた視線にとても耐えられなかっただろうけど、初めて心から僕のことを想ってくれる恋人を得た僕はもうあまり周囲のことは気にならなくなっていた。
妹はあまり兄君と女のことを口にしなくなっていた。もともと彼女が僕に関心を持ったのは自分のことを助けてくれる相手としてだったはずだけど、この頃になると妹が僕に要求するのは自分に対する僕の愛情だけになっていて、女の女神行為についての話題は全く口にしなくなっていたのだった。
朝僕たちは一緒に登校し、誰もいない部室で寄り添って授業開始までの短いひと時を過ごした。その後、僕はもう人目を気にすることなく一年生の校舎の入り口まで妹を送って行った。始業前に駆け込んでくる生徒たちで溢れている校舎の前では、妹も部室に二人きりでいる時みたいに僕に抱きついたりキスしたりすることはなかったけど、別れ際に彼女は名残惜しそうに僕の手を握るのだった。
昼休みと放課後の逢瀬も部室を使わないというだけで僕たちがしていることは同じだった。
766Res/849.25 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。