過去ログ - 氷菓に不満があったのでSSを作ってみた。
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1:その1
2012/05/24(木) 19:32:05.76 ID:KdslAUbA0
 俺は、常々省エネを心がけており、無駄なことをせずに静かに過ごして、地球に優しい
人生をしていこうと思っている。そんな俺に、海外に出張している姉から手紙が届いて、
廃部になりそうな、古典部に入部して欲しいというのだ。

 部員が一人も居ないので好きにやってもいいというので、職員室から部室の鍵を借りて、
夕方の旧校舎にやってきた。鍵を開けて入ろうと思ったら、開かない。

 もう一度鍵を回してみると開いた。ということは施錠してなかったのかもしれない。

 まあ、廃部寸前の部室だから、そういうこともあるのだろうと思って入ってみると、
窓際に一人の女生徒が居た。まさか、部員が居たのか?

「あの…、古典部の人ですか?」
 夕焼けの逆光の中、さらさらのロングヘアの美少女がこっちを振り向いた。

「…いえ、この場所が気に入っているので。あなたが古典部の人ですか?」
「ええ、自分一人だけだと思いますが」

 すぅっと彼女は俺に近づいてきた。瞳のきらきらした好奇心に満ちた目、淡い色の唇。

「わたしは、千反田えると言います。あなたは?」
「俺は、折木奉太郎です」

 彼女は俺の抱きついてきて、匂いをかいでいる。

「いい匂いがします。えるって呼んでください、奉太郎さん。わたしも古典部に入って、いいですか?」
「いいけどさ、急に抱きつくなんて……悪い気はしないけど」

 正直、俺は、この子に魅了されてきて、親密になりたくなってきた。

「そうだな…、えるは彼氏とか居るのかな? 俺も彼女が居ないしさ、良かったらつきあわないか?」
「はい、いいですよ。奉太郎さんとはこれから、長いつきあいになりそうな予感がしますし」

 えるは、胸に溜めていたものをはき出すように、
「実は、古典部の文集に絡むことでわたしの伯父から何を聞いたか思い出したくて、でも、そのつてが
無かったんです。奉太郎さんなら、どうしても気になってることを解決してくれる気がするんですが」

 彼女になってくれるという事で、俺の心はすっかり浮かれて、えるの言う事なら、何でも叶える気分
だった。

「ああ、俺の姉が古典部のOGだし、力になってやれると思うよ。友達の里志の奴も協力させれば、
たぶん、何とかなると思う」
「ほんとうですか!!」
 えるの瞳は宝石のように輝き、その微笑みは俺を魅了するのだった。


 翌日、謎解きには文集が必要なのでそこにあるんじゃないか?とえると一緒に図書室に来た。
「あら、折木じゃない。相変わらず陰気な顔してるわねって…、その子は、誰なの?」

 今日のカウンター当番は、幼なじみの伊原摩耶花だった。小学校以来の付き合いなんだけど、ちょっと
大人びた整った容姿なので普通なら引く手あまたな筈なんだけど、毒舌で近づく奴は撃退される。

 それを知っているだけに俺は敬遠気味だけど、何のつもりか、俺には相変わらず突っかかってくるが、
今日の摩耶花は様子が違うな。


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