過去ログ - 騎士「私のために剣を作れ」 鍛冶屋「いやだ」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[saga]
2012/05/31(木) 21:33:03.25 ID:1c5644Tl0
―――王子は、自分の腕に巻いていたひとつの組紐を外す。
王子「ずいぶん遅れたけど、どうか、受け取って欲しい。 君に贈れる、最初で最後の男の見栄だよ」
隊長「・・・・・・っ・・・・・・?」
王子「組紐・・・・・・約束だったろ。 ずっと渡せなくて、すまない」
隊長「・・・・・・組、紐?」
王子「女性への贈り物にしては、ムードが足りなかったかな。 これじゃあ、兄さんに、怒られてしまうな」
隊長「覚えて、いらしたのですか?」
王子「もう、ずっと前に完成はしていたんだ。 ただ、贈り物って、したことなくてね。 情けないだろ。 一国の王子が、贈り物一つで臆病になるなんて。 恥ずかしくて、ずっと自分の腕に巻いていたんだ」
隊長「王子・・・・・・」
王子「さぁ、腕をだして」
隊長「・・・・・・ありがとう、ございます」
王子「よかった・・・・・・。 よく似合うよ。 君の願いが、いつか叶うといいね」
隊長「私の願いは・・・・・・っ」
王子「本当に、今まで、ありがとう。 どれだけ言葉を飾っても、僕のこの思いは、全てを表現しきれないだろう」
―――隊長は感極まり、これ以上の泣き顔は見せまいと、顔を俯かせる。
隊長「私も、今日まで良くしていただいた王子には、本当に・・・・・・本当に・・・・・・」
王子「ああ。 ありがとう。 “僕”はそんな君の事が・・・・・・」
―――夜が明けた。
太陽の日差しが国中を、そして、王子の病室を明るく照らし出す。
隊長「・・・・・・王子?」
―――太陽の様な存在と呼ばれた青年の腕から、長年巻き続けてきた組紐が切れ、地面に落ちる。
そして、隊長が顔を上げた時には、王子の体は霧のように・・・・・・幻であったかのように、ベッドの上から消えていた。
隊長「・・・・・・っ、う、ぐ、ぐすっ・・・・・・う・・・・・・っ」
彼は、生涯を捧げた国を、いつまでも照らし続けるだろう。
この先、何年、何十年、何百年と。
いつまでも、いつまでも・・・・・・。
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