512:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:46:01.15 ID:lYp+dXcSo
俺たちが口を割らないものだから、教師たちも困り果ててしまったようだった。
結局話の進展はないまま、今日はとりあえず帰れ、という向きになる。後日連絡する。まぁそんなものか。
窓ガラスに関しても弁償はしてもらう。折半。と高田は言った。
513:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:46:34.89 ID:lYp+dXcSo
モスだけが、ただ黙っている。
俺は不意に思い出した。
「なあ、モスさ」
514:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:47:07.20 ID:lYp+dXcSo
「そりゃ、くだらないことで他人に軽蔑されることはない。でも、俺は軽蔑されて当たり前なんだよ」
「……何があったの?」
515:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:47:42.24 ID:lYp+dXcSo
まあいい。
全部俺のせいってことでいい。実際、そんなようなもんだろう。
俺は三人を教室に残して家路についた。モスは俺を引きとめたけど、追いかけてこなかった。
516:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:48:09.51 ID:lYp+dXcSo
俺はいまも、アキにしたようなことを繰り返しているのだろうか。
モス、タカヤ、幼馴染。俺は彼らのことも、やっぱりどうでもいいと思っているのだろうか。
どうなんだろう。分からない。まったく分からない。
517:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:48:40.85 ID:lYp+dXcSo
考えてみれば、考えたって仕方ないのだ。
俺がアキにしてしまったことは、既に終わったことだ。
いまさら掘り返して謝ったって、俺の気分が少しマシになる程度が関の山で、アキには身勝手にしか映らないだろう。
518:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:49:18.93 ID:lYp+dXcSo
茶髪は俺の大部分を的確に理解しているけれど、ひとつだけ大きな誤解をしている。
俺にはたしかに欲しいものがあって、それが手に入らないから嘆いている。
八つ当たりしたり自己憐憫したり馬鹿なことをやったりもした。
519:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:49:48.82 ID:lYp+dXcSo
家に帰ると、いつものようにコタツで妹が眠っていた。
ずっとそこにいるとどうにかなってしまいそうだったので、部屋に戻る。
でもだめだった。鼻の奥がつんとして涙が出そうになる。馬鹿らしい自己憐憫。
520:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:50:37.56 ID:lYp+dXcSo
「寒くないの?」と妹は言った。
「そんなには」と俺は答える。
俺は彼女が本当の妹だったらよかったのにと思った。
521:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/16(土) 08:51:03.24 ID:lYp+dXcSo
つづく
522:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/06/16(土) 08:52:43.38 ID:o9jsUMBdo
モツ
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