728:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/28(木) 12:50:14.80 ID:AasgcWJTo
「わたしはさ、あなたと話したいこととか、いっぱいあるよ」
「悪いけど」
と俺は答えた。
「……そっか。うん」
平気そうな声音だった。アキは努めてそういう声を出す人間だった。
何を思っていても平気そうな顔をする人間だった。それなのに、頭の中も胸の内も傷ついてばかりいる。
ひどく傷つきやすい人間だった。
俺は罪悪感に駆られる。ひょっとして俺は自分勝手な恐怖で彼女を蔑ろにしているのではないだろうか。
本当に、彼女は言葉以上のことを考えていないのではないか。
何が俺をこんなに不安にさせているんだ?
「ねえ、でもさ、また連絡してもいい?」
俺には、どう断ればいいのか分からなかった。自分に断る資格があるのかどうかも分からなかった。
アキが以前と変わらぬ口調で話を続けている間、俺の頭をよぎっていたのは、あの蒼白な幼馴染の表情だけだった。
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