729:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/28(木) 12:50:41.59 ID:AasgcWJTo
電話を切ると、部屋は耳鳴りがしそうな静寂に支配されていた。
俺の頭は混乱している。努めて何も考えないようにしたが、どうしても暗い気分になる。
なぜ?
と、さまざまな疑問が頭の中で回り続けている。
なぜ、いまさら連絡をよこしたのか。なぜ、平然とした態度で俺と話すのか。なぜ、俺と会いたいというのか。
だが、しばらく経つと気分が落ち着いて、なんとか冷静に自分なりの説明をつけることができた。
彼女は今や恋人をつくり、普通に生活をできるほど回復している――少なくともそう見える。
そして、昔ひどいケンカ別れをした人と偶然会って、なんとか過去のことを清算したがっているのかもしれない。
ひどい思い出を、もうすこしマシな話に変えてしまいたいのかもしれない。
だから話したいのだ。対話。そうだろう、たぶん。いまさら彼女が俺になんらかの執着を抱えていると思うのは、自意識過剰だ。
そんなふうに感じるのはきっと、俺が彼女になんらかの形で執着しているからなのだろう。
どうせ連絡なんてしてこないに違いない。これで、この話は終わりだ。
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