過去ログ - 勇者「幼なじみが魔王女」
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148:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/05/30(水) 02:11:12.15 ID:mBAGtmcDO
…………………………

竜青年「……」

人男子「よう」

竜青年「……なんだい?」

人男子「敗者の負け言を聞きに来た」

竜青年「そうかい」

人男子「……? やけにスッキリしてるな?」

竜青年「うん、踏ん切りがついたというか、諦めがついたというか」

人男子「諦め?」

竜青年「ボクは焦っていたんだ、自分の真実を他人に認めさせようとね。
……だけど、防具越しに突き付けられた彼の『本気』の眼光を前に、ボクの頭の中にあった真実はそのどれもがヒザを屈してしまった。
結局、ボクのやっていた事は子どもの癇癪と同じようなものだったんだ」

人男子「何を言っているのか分からないが……メイドはどうするんだお前?」

竜青年「もう、いいや」

人男子「バカ野郎!」

竜青年「っ!?」

人男子「自分の進んできた道を、そんな簡単に手放すんじゃねえ!
お前の作ったメイド服を見たら分かる! メイドが好きなんだろうがお前!」

竜青年「で、でも……他人を無理やり従わせる気はもうないし、メイドは好きだけど雇える金も無いし……」

人男子「なら作れよ、メイド服!」

竜青年「……え?」

人男子「お前がメイド服を作るだろ? そしたら、世界に一人のメイドが生まれる! 二着作れば二人! 百着作れば百人だ!」

竜青年「!」

人男子「お前の働きは世界に広がる! お前の生んだメイドたちが世界に広がるんだ!」

竜青年「ボクの生んだメイドが、世界に!?」

人男子「そうだ! お前はメイド世界を救うんだ!」

メイド世界って何だ? という疑問は、しかし竜青年には生まれない。
あまーい汁はすでに疲れた竜青年の脳髄にとろとろと染み込んでいた。

竜青年「分かったよ! ボクはメイド服を作る! そして、世界に認められ……いや、メイド世界の救世主になろう!」

人男子「やったな!」
竜青年「ありがとう、君のおかげで目が覚めたよ!」

こうして、新しく踏み外した道を竜青年は歩き始めた。


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