154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/05/30(水) 19:23:52.50 ID:mBAGtmcDO
魔王「……っ!?……ッ!?」
魔王は頭の中が真っ白になった。
──私の家になぜ勇者がッ!? いや、小さい頃からの仲だから入って来るのは問題ないし許しているし……、じゃなくて! 今この状況でなんで彼がッ……。
魔王の思考が空転する。
何かを言わなければならないと分かってはいるが、パニックっているために口はパクパクと金魚のように開閉するだけで、肝心の言葉はまったく紡げない。行動も起こせない。
結果、数秒の間。静寂。
無音の室内、スニーキングミッション中に頭の上に「?」マークが出て警戒を始めた敵をやり過ごすような、そんな命懸けの緊張が魔王を支配する。
──帰れ! そのまま引き返せ勇者!
顔を流れる汗の玉が、アゴの先で一つの滴になって床へと落ちる。
自分の心臓の刻む音だけが耳の奥に響くなか、勇者の帰宅を必死に願う魔王。
勇者「いるだろー? おーい魔王ー」
しかし、現実は非情だ。
勇者は帰らない。
それどころか、部屋の中に魔王がいる事を確信しているようだった。
勇者「……寝ているのかー? 出て来ないなら開けるぞー」
魔王「いる! いるから待て絶対に開けるなッ!!」
開けられたら憤死確定。
その恐怖が魔王を動かした。
541Res/361.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。