過去ログ - 勇者「幼なじみが魔王女」
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331:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/07/31(火) 01:38:27.69 ID:hJYbt3ADO
〜 一方その頃、農園の管理小屋 〜

職員「新しくアルラウネちゃんを連れて来ました」

農園長「おう! そのアルラウネはどんな感じだい?」

職員「はい、陽気でお調子者。通常のアルラウネと同じ土壌で大丈夫かと……あれ?」

 麻袋の中身を確認していた職員は目を丸くした。

農園長「どうした?」

職員「いえ、アルラウネちゃんの様子が」

アルラ「ぴーぴーぴーぴーぴーぴー……」

職員「目をつぶって鳴き続けてますけど……これは?」

農園長「……こりゃ、交信してるな」

職員「交信? テレパシー的なアレですか?」

農園長「ああ、テレパシー的なアレだ。珍しいな、離れた仲間に危険を知らせる時とかにしか見れないもんだが……」

職員「え? なら、ここに危険が迫ってるんですか!?」

農園長「いや、違う。多分、同族……長老アルラウネあたりと交信しているんだろう」

 長老アルラウネとは、農園の中で一番歳を食ってるアルラウネのことである。
 長老アルラウネは中立地帯が成立する遥か昔、今は初老の農園長が産まれるずっと前から存在するらしく、その正確な年齢を知る者はいない。
 だが、全長三十メートルを超える巨体からはその刻んできた歴史の深さがうかがい知れた。

職員「長老アルラウネと交信? それは無いんじゃないですかね?」

農園長「うん? どうしてそう思う?」

職員「だって長老アルラウネって言ったら、延々と一人で大陸を『巡礼』し続けた一匹狼の根なし草ですよ?
 中立地帯に農園が出来てすぐに保護されましたけど、今もおとなしくしているのは巨体に家を破壊されて怒り狂った住民に襲われて傷を負ったせいですし……」

農園長「仲間と仲良くするわけが無い、と?」

職員「はい」

農園長「読みが甘いな」

職員「……へ?」

農園長「長老アルラウネは一匹狼なんかじゃない。目を見たら分かる。アイツは好き好んで一人になっているわけじゃない」

職員「はぁ、なら何でまたそんな……」

農園長「きっと何かを探しているだけさ。おそらく、もう絶対に見つからない何かをずっとな。だから、傷で動けなくなった今もこうやって情報だけは集めてるんだろうよ」

職員「そういうものですか……」


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