過去ログ - フィアンマ「右手が恋人なんだよ」
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24: ◆H0UG3c6kjA[saga]
2012/05/30(水) 19:47:32.56 ID:FRdWAQpX0
いまいち実体を持たない『第三の腕』を熱っぽく見つめながら、フィアンマは自らの下衣に手をかける。
『第三の腕』は特に反応を返す事もなく、ただそこにゆらゆらと存在していた。
幸運にも、未だ空中分解は起こっていない。攻撃や防御に使用していないからだろうか。
性的興奮に乾く唇を自らの舌と唾液とで潤し、下衣を脱ぎ捨てたフィアンマはそわそわとした様子で『第三の腕』を抱き寄せる。瞳には欲情の色。
『第三の腕』は怯えた様に僅かばかり身動いた後、大人しくフィアンマの腕の中へとほんの少しながらも収まった。
靄がかった『第三の腕』に数度か軽く口付け、愛でる様に指の外側を優しい手つきで撫でる。
戦闘では大剣を握らせているため、やや不安げな表情でフィアンマは『第三の腕』の指の腹や手の平を撫でていく。そんな慈しむ手つきに対して、『第三の腕』はこそばゆそうに震えた。
そんな動きに、誰にも見せた事のない無邪気で、可愛らしさまで帯びた笑みを浮かべながら、フィアンマは『第三の腕』を抱きしめた。
ギチギチ、と奇怪な音でさえ、フィアンマにとっては照れている様子に見えた。
自分のソレには一切触れず、不揃いな『第三の腕』の指先をぺたぺたと撫でていく。
満ち足りた気分だった。至福の時間に自然と表情は弛み、気をつけても常の様には引き締まらない。
「『聖なる右』、」
自らが『神の如き者』に因んで命名した名前を呼んで、黒い爪のあまり尖っていない部分に舌を這わせる。
『天使の力』によって構成されたその術式は、ギチリ、と不気味な音を立てた。
そんな音を聞きながらも機嫌よく爪を舐めた。
特に味はしないものの、その行為そのものが、フィアンマの興奮を底上げする。
猛禽の羽の如き形をじっくりと視姦しながら、骨ばった指を触る。
他の人間にはおどろおどろしい見目でしかなかったが、フィアンマにとっては魅力的なフォルムだった。出来ることならば受肉をした『第三の腕』とセックスをしたいとは考えるものの、まだまだ道のりは遠い。
「『聖なる右』、愛しているよ」
世界中の誰よりも、何よりも。
どこか恍惚とした表情でそう囁き、フィアンマは愛おしい恋人へと飽きずに何度も口づける。
半勃ちのソレを『第三の腕』に擦りつける様にして、フィアンマの腰は自然と揺れていた。
「…」
無言のままに咎める様な雰囲気を『第三の腕』から感じ取ったフィアンマは困ったような笑みを見せ、『第三の腕』に頬を寄せた。
赤褐色の手全体に抱きつく形で、フィアンマが甘える。
フィアンマの意のままに動く『第三の腕』は拒否をする事もなく、ただ静かに受け入れた。
爪の無い部分にソレを押し付け、淫靡な雰囲気を纏いながらフィアンマは目を細める。
唇を噛んでどうにか抑え込もうと努力はしてみるものの、性的快感に自然と甘さを帯びた声が漏れていく。息が乱れ、背徳的な快感が背筋をかけのぼる。
「は、ぁ…っ…『聖なる右』、っあ…」
「…」
「ん、っく…」
その竿を扱く事は無く、直接的な快感はないものの、空想(神聖なものに対する愛情からきているため、妄想とは敢えて表記しない)による快感に、フィアンマの身体はびくつく。
ぴくりとも動かない『第三の腕』の靄の中で幾度も腰を動かし、調度『第三の腕』の手の内にぶちまける形で、フィアンマは絶頂に達し吐精した。
「っは…はぁっ…、…すまない」
「…」
急激に興奮が落ち着き冷静になると、後片付けをしながらフィアンマはしょんぼりと落ち込んだ。
長らく恋人関係にある以上セックスはしたいと思えど、『第三の腕』を穢す事はフィアンマの本意ではない。
今にも灰を被って真剣に自殺を検討し兼ねないフィアンマの頭を、『第三の腕』がそっと撫でる。優しく、壊れ物を扱うかのように。
後片付けを済ませ着衣を終え落ち込むフィアンマはしばらく『第三の腕』を見つめた後、安堵の表情で口元を弛ませる。
ぎゅう、と抱きついて甘える様は、少し幼さを感じさせるものの、世間一般の青年と何ら変わらない。
「『聖なる右』…」
「…」
ぎゅうぎゅうと『第三の腕』…正確には虚空を抱きしめつつ甘え、フィアンマは心底幸せそうに笑む。
何も要らない。
要らないから、この幸福が永遠に渡って続きますように、と祈りながら。
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