441:幸せの味[saga]
2013/07/01(月) 23:03:13.12 ID:zo/zVMQg0
ガタついた扉をスライドさせると、店内は薄暗く、昼間だというのに蛍光灯なしではメニューすら見えないような、そんな暗さ。
先程まで外にいたからか、目が慣れず尚のこと何も見えない。
それもこれもカーテンで必要以上に遮光されているからに違いない。
クーラーは効いておらず、扇風機が無粋に首を振っているのみで、とてもじゃないが涼しい空間とはほど遠い。
だが一度入った手前、すぐに出ていくのも忍びなくなり、ここで昼食にすることに決めた。
腹の虫が限界だったこともある。
店内にはカウンター席しかなく、厨房は暖簾で仕切られ見ることが出来ない。
当然というべきか、やはり誰も座っていなかった。
お昼時にこれでは、この店の将来も知れたものである。
杏子はこんな店の将来を微塵も心配していない。
世界は弱肉強食。
食物連鎖に適わない。
強いものが勝ち、弱いものが負ける。
それが人生なのだ。
弱者から奪い取って何が悪い。
弱者を守ったって何も良いことなどない……。
795Res/559.91 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。