238:第十一章 王女編「虹の架け橋」 ◆a6qh.01v1w[saga !桜_res]
2012/06/07(木) 00:25:47.16 ID:dXrxOOG00
「きぬはた、きぬはた!」
姫の手の中で、絹旗は冷たくなっていきます。
「きぬはたー!」姫は叫びました。
絹旗は応えません。
姫は、冷たくなった絹旗の手足をこすりました。
「起きて、起きてきぬはた」
でも、絹旗はぐったりしたままです。
姫は、絹旗の胸をとんとん叩きました。
でも、何も起きません。
「胸を叩くと、蘇った人がいたって聞いたのに…」
姫は、絹旗の胸に当てた自分の手に目を落としました。
お母様の形見、サキュバスの涙。
絹旗は、聖なる命の石、といっていました。
姫は、お母様の形見の指輪をこすりました。
「お母様、助けて。きぬはたを、助けてください」
とつぜん。ルビーから、いく筋もの真っ赤な光が、放たれました。
光は壁や床に反射して、部屋は赤い線でいっぱいです。
そして絹旗の体が、赤い光に引き上げられるように浮きました。
赤い光の糸が集まって絹旗を包み、まゆを作っていきます。
「きぬはたの鼓動を感じる…」
それと同時に、姫はひどい疲れを感じました。
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