過去ログ - ブギーポップ・クロス 〜ネオンライトのガラス玉〜
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11: ◆qXEKQweJllf.[saga]
2012/06/04(月) 02:04:58.16 ID:ZOyFKUWno

「すみません、久しぶりですね、藤……宮下先輩」

確かひとつ上だったと思い、そして、青髪の言っていた転校生も二年生で恐らくこの人だと記憶に確信を持ったので、昔の呼び方はやめておいた。

「もう『藤花ちゃん』でいいのに……」

宮下先輩はつまらなそうにそう言った。

「いや、なんというかこの歳でちゃん付って呼ぶ方が恥ずかしいというか」

適当にごまかそうとモゴモゴと口走ってから思い出した。
この人にはこういう誤魔化しは通用しないのだ、と。

「嘘、きっと私といると嫌な事思い出すから昔みたいに仲良くしたくないんでしょ?
大丈夫よ、そんなに話しかけたりしないから」

じゃあね、そういいながら宮下先輩は職員室の中へ消えた。

「退院、引っ越し……十分思い出しちまいましたよ」

ため息をつきながら、俺も靴箱へと向かった。

「上条君」

とぼとぼ歩き始めると後ろから呼び止める声が聞こえた。

振り返るとそこには先程話しかけないから!と言っていた宮下先輩がたっている。
だが、その雰囲気は彼女らしくなく無感情で冷たい印象を受けた。
そうだな、なんというかゲームとかで条件次第で意思とかは関係なく自動的に出てくるロボットの門番……みたいな雰囲気だ。

「君は、絶望を知っているか?」

「え?」

「……それは、世界を壊すものだ」

「何を言って……」

近寄ろうとすると、左右非対称な奇妙な笑顔を浮かべ、さっさと職員室へと戻ってしまった。

「藤花……ちゃん?」

そのあまりの変容ぶりに、今のが宮下先輩だったのかと自身を失った。
そして、もう何年ぶりになるだろうかというこの街にくる前の唯一の友達の名前をつぶやいていた。



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