過去ログ - ブギーポップ・クロス 〜ネオンライトのガラス玉〜
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4: ◆qXEKQweJllf.[saga]
2012/06/04(月) 01:57:38.80 ID:ZOyFKUWno

もともとそんな人生だったのかもしれないけれど、この街に来てレベルという誰が見ても一目でわかる“烙印”をつけられた事で、こんなに早く「空っぽな人生」に気づかされたのかもしれない。

私は空っぽ。

激しい希望も無ければ、深い絶望もない。

なにも、ない。

「佐天さん?」

帰ろうと、言ったくせに立ち上がる気配のない私に初春は不思議そうな顔を向けてきた。

「ごめん、少しぼんやりしてた。
……このあとは風紀委員?
今日は活動ないならさ〜……たまには、ぱぁっとあっそびいこうぜー!」

明るく笑う自分を、無表情の自分がテレビの中の出来事のように眺めている。
そんな感覚が常に私にはあった。

「わわ、急に抱きつかないでくださいよ!
遊び行くのはいいですけど、白井さんとあともう一人も一緒でいいですか?」

「……うん、もっちろん!」

「ありがとうございます!」

「いえいえ、私も嫁の同僚は一度見ておきたかったしねぇ」

「よ、嫁って……もう、佐天さんてば冗談ばっか……」

ごめんごめん、と軽く謝り「白井さんともう一人」のもう一人は誰かと尋ねた。

すると、初春はその質問を待っていましたと言わんばかりの満面の笑みでこう、答えた。

「御坂美琴さんですっ!
あの、レベル5の第三位、常盤台のエース超電磁砲の御坂美琴さんですっ!」

空っぽだった私の中に深淵よりも深い闇が、少しだけ生まれたような気がした。

そして、その闇は、空っぽだと思っていた私の中に闇を認識出来る程度の光が存在していたという事も気づかせてくれた。

この出会いが、私を変えた。

そう、この、ドス黒い固まった血の色のような絶望感が私を変えてくれた。


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