過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」2
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(神奈川県)
[saga]
2012/06/07(木) 01:11:06.68 ID:jiMDkYtfo
「私は『私』じゃない。私は『あなた』とは違う――って」
不意に、左手が握り返された。
それを温かいと、嬉しいと、まどかは思う。
視線の先で、黄金色の瞳の少女は深く頷いた。まどかの言葉を受け止めてくれた。
『そうだね。私は『私』じゃない。ごめんなさい』
だけどね、と彼女は続ける。
『私と『あなた』の違いは、たぶん、本当にささいなことだと思うの。
きっかけが有ったか、無かったか。
助けてくれる人たちがいたか、いなかったか。たったそれだけの事だと思うんだ』
ただ言葉だけを捉えていればまどかのことを励ましているように聴こえるかもしれない。
実際、その響きにじゃまどかのことを思いやる気遣いが含まれているように聴こえた。
だけど――まどかにはそれが、精一杯の抵抗の言葉に聴こえた。
ちょっとした意地悪な言葉。小さなイタズラ心が生んだ、彼女自身気付かぬ、世界にも気付かれない嫌味。
小さな小さな、嫉妬の炎。
……もし、そうであったならば。
彼女の心が常人のそれと変わらない事を証明しているように思えて、まどかは複雑な笑みを浮かべた。
『本当はもっと色々お話したかったけど、ごめん。もう時間みたい』
そう言って、彼女は右手をまどかから離して周囲を仰いで見せた。
それを見てまどかとほむらも気付く。
灰色の大地に、見通せぬほど広い果ての無い世界に大きな亀裂が走っている。
もう、時間が無い。
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