1: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 19:11:25.71 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
もうすぐ高校生活が終わる、私は上手くやってこれただろうか。
色々あったが、今となっては青春のひとコマだろう。
卒業式を間近に控え、私たちは家路に就いている。
河川敷の上、少し高くなった道路を進む。
私となっちゃんと英子ちゃんの三人で。
今日は本当に楽しかった、今までこんなにはしゃいだ日はなかっただろう。
軽音部のみんなが私たちの教室でライブを行ってくれた。
和ちゃんがみんなの指揮をとり、協力して実現したライブ。
私は――私たちは、ずっと忘れないだろう。
今日のライブだけじゃなく、修学旅行や学園祭はもちろん。
受験勉強に苦しんだのだっていい思い出だ。
二人の背中を見つめながら、軽い足取りで歩く。
鞄が軽い、もう教科書を入れる必要は無いから。
履き慣れたローファーともお別れ、もう履くことは無いかな。
着慣れた制服ともお別れ、卒業式ではちゃんと前を留めよう。
掛け慣れた眼鏡は、もう少し付き合ってもらおう。
髪は長いままでいいかな、今は染める気も無いし。
なっちゃんが英子ちゃんに、「今日の風子ご機嫌だね」と耳打ちをした。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]
2012/06/09(土) 19:15:44.28 ID:UySXVMoAO
乙
どう終わらせるか期待してる
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/06/09(土) 19:37:45.93 ID:t7jxBEXSO
クラナドじゃなさそうだ
何かは知らないが
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]
2012/06/09(土) 19:57:00.87 ID:v1b/L3PFo
期待
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]
2012/06/09(土) 20:48:59.61 ID:UySXVMoAO
>>3
けいおん!!のモブキャラ
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/06/09(土) 21:01:34.65 ID:t7jxBEXSO
>>5
サンクス
けいおんは知ってるが、モブまでは残念ながら分からないから退散する
7: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:01:59.44 ID:bzATqBdvo
宙に浮いたような足取りで二人へと近づき。
「だって、本当に楽しかったんだよ。そう思うよね? 二人とも」
なっちゃんが「はいはい」と言いながら私の頭を撫で、
8: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:03:06.70 ID:bzATqBdvo
「ううん、違うの。色々思い出してただけ」と、目を伏して首を横に振った。
崩れた髪を整えながら二人と一緒に歩く。
私の『色々思い出してただけ』という言葉には触れず、
9: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:03:39.05 ID:bzATqBdvo
三ヶ月前の私なら、素直にライブを楽しめただろうか。
とてもそうは思えない。
それ以前に、『さわ子先生に何かしたい』という言葉も出なかっただろう。
――このクラスになって本当に良かった。
10: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:04:07.53 ID:bzATqBdvo
先を行く二人を見つめながら、私はもう一度空を見上げた。
二月にしては澄み切った空だ。
卒業式までこの天気が続けばいい。
未来のことはわからない。でも、今の私は満ち足りている。
11: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:04:49.30 ID:bzATqBdvo
「どこ行こっか?」
抜けているのを取り繕うように、少し慌てて声を出した。
「ハンバーガー食べに行こうよ」と、素早いなっちゃんの回答。
12: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:05:17.41 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
図書室の窓枠越しに空を見ていると、一羽の鳥がそこを横切った。
外には灰色の空が広がっていて、十二月ということを実感させる。
13: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:05:43.64 ID:bzATqBdvo
「夏香、そろそろ自分で考えたらどう?」
私の正面に座っている英子ちゃんがすかさず口を開き、
なっちゃんは決まりが悪そうに答える。
14: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:06:11.09 ID:bzATqBdvo
割り込んでいいものかと思ったが、すでに言葉が先走っていた。
「まあまあ英子ちゃん、人に教えるのって自分の勉強のためにもなるんだよ」
「そう――、それならいいけど。あんまり夏香を甘やかしちゃ駄目よ」
15: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:06:52.29 ID:bzATqBdvo
正面に向き直ると、本棚の隙間から近づいてくる人影に気付いた。
見慣れた赤い眼鏡、和ちゃんだ。
「英子、ここいいかしら?」
16: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:07:22.58 ID:bzATqBdvo
もともと私は数学が得意なほうではなかった。
かといってどうにもならないほど苦手なわけではない。
やはりみんなで勉強をしているからだろう。
自分では解決出来なかった問題でも、
17: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:07:51.48 ID:bzATqBdvo
夕日が差し込み、図書室の一角をオレンジ色に染めている。
黒い影とのコントラスト。
その様子に目を奪われていると、
なっちゃんの手が止まっていることに気付いた。
18: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:08:47.49 ID:bzATqBdvo
「わかってるって。じゃあさ、本屋だけ行こう」
「ちょうどいいわね、買いたい本があったのよ」
和ちゃんも乗り気のようだ。
19: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:09:44.51 ID:bzATqBdvo
――――――――――――――――
本屋に入り真正面の手帳コーナーを眺める。
様々な手帳を見ながら『もう十二月なんだな』と、
時間の流れを意識して、足は文庫コーナーへ向かった。
20: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:10:10.76 ID:bzATqBdvo
早々にレジを済ませ鞄に放り込み、
漫画コーナーをうろついているなっちゃんに声を掛けた。
「なっちゃん何買うの?」
21: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:10:46.84 ID:bzATqBdvo
雑誌コーナーに足を運ぶと、和ちゃんと英子ちゃんの姿を見つけた。
棚にはライフスタイル、料理、暮らし、といったラベルが貼られている。
「風子、私雑誌見てくる」
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