61: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:41:44.11 ID:bzATqBdvo
なんだか恥ずかしくなって、思い出したように声を発した。
「えっと……相談があるんですけど」
「ごめんね私ばかり喋ってて、卒業のことね?」
62: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:42:44.17 ID:bzATqBdvo
先生が迷いの無い声で話し、言葉を続けた。
「人は変わろうとするとき不安になるの、それが証拠よ。
でもあなたなら大丈夫、心が痛いってこと知ってるでしょう?
そんな人ほど強くなれるわ」
63: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:43:15.51 ID:bzATqBdvo
「少し楽になった? 私の経験談じゃ駄目だったかしら」
「いえ、そんなことありません。ありがとうございます」
「もう少しここに居る? 昼休みが終わるまで居てもいいのよ」
64: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:44:04.76 ID:bzATqBdvo
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指導室をあとにした私は、一人になれる場所を探していた。
色んな言葉が頭に渦巻いている。
泣きそうなのを見られないように、顔は上げないまま、上目遣いで歩く。
65: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:44:37.57 ID:bzATqBdvo
保健室、ここはどうだろうか。かすかに人の気配がする、だめだ。
階段を昇って上に行こう。
『風子、あんまり無理しないでね』
66: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:45:31.15 ID:bzATqBdvo
上手い具合に空き教室があった。
昼だというのに薄暗いのはカーテンが閉められているからだろう。
ここは本当に人が居ないんだなと安心する。
「うぅ……」
67: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:46:24.44 ID:bzATqBdvo
「せんせぇ……」
『大丈夫、私はいつでも味方よ』
私を見てくれていないと思っていた。
68: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:47:35.49 ID:bzATqBdvo
ハンカチをしまったとき、ポケットに入ったままの飴に気付いた。
まだ涙は止まらないけど一つ食べることにした。
両端を引っ張り包み紙を開き、手のひらに乗せ口に放り込んだ。
69: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:49:19.81 ID:bzATqBdvo
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教室に戻り、席に座っている和ちゃんと唯ちゃんに声を掛けた。
「和ちゃん、唯ちゃん」
70: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:51:02.43 ID:bzATqBdvo
目を丸くする和ちゃん、顔を明るくする唯ちゃん。
私もきっと笑っているだろう。
「そうだ、これあげるね」
71: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:53:33.17 ID:bzATqBdvo
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それからは吹っ切れたのだろうか。
寝付きもよくなり、その分朝が清々しくなった。
学校でもいつものように、いや、前より少し元気になれた気がした。
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