69: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:49:19.81 ID:bzATqBdvo
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教室に戻り、席に座っている和ちゃんと唯ちゃんに声を掛けた。
「和ちゃん、唯ちゃん」
70: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:51:02.43 ID:bzATqBdvo
目を丸くする和ちゃん、顔を明るくする唯ちゃん。
私もきっと笑っているだろう。
「そうだ、これあげるね」
71: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:53:33.17 ID:bzATqBdvo
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それからは吹っ切れたのだろうか。
寝付きもよくなり、その分朝が清々しくなった。
学校でもいつものように、いや、前より少し元気になれた気がした。
72: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:54:40.26 ID:bzATqBdvo
「なんかね、私のことばっかり聞いてくるんだ。
『勉強進んでる?』とか、『一人暮らし大丈夫?』とか。
たぶん心配してくれてるんだろうけど――」
いつも和ちゃんはクラス全体のことを考えている。
73: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:57:12.60 ID:bzATqBdvo
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唯ちゃんと別れ、家に帰ってから、ある一つのことを考えていた。
食事中でも、入浴中でも、勉強中でも考えていた。
74: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:59:26.25 ID:bzATqBdvo
眼鏡を外し、ベッドに潜り思いを巡らす。
『先生のために、みんなのために』ということを。
形に残る物がいいのか、残らない物がいいのか。
渡す時期も場所もまだ決めていない。
75: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:01:40.16 ID:bzATqBdvo
いつか眠れない夜があった。
今日もあの夜に似ているかもしれない。
あのときは世界中で一人だけみたいだと感じていた。
でも今はそんなこと思わない。
76: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:04:29.47 ID:bzATqBdvo
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何かに集中していると時間は早く過ぎるものだ。
勉強、模擬試験、復習、規則正しいサイクルで日々は過ぎていく。
77: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:06:20.70 ID:bzATqBdvo
みんなで話し合った結果、寄せ書きを贈ろうということに決まった。
和ちゃんも乗り気のようで、色紙やマーカーの注文もしてくれるそうだ。
『やっぱりみんなさわ子先生が好きなんだな』と、今回のことで実感した。
78: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:10:07.32 ID:bzATqBdvo
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白い色紙が色とりどりのメッセージで埋まり始めたころ、
軽音部のみんなが卒業旅行から帰ってきた。
行った先はなんとロンドンだ。
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