83: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:19:43.16 ID:bzATqBdvo
あっという間に数曲が終わり、今度は秋山さんの歌声が聴こえてきた。
しっかりとした声で、力強く歌い上げる。
普段の彼女は恥ずかしがり屋だけど、舞台の上に立ったときは輝いて見える。
学園祭の演劇やライブ、あのときは本当にかっこよかった。
84: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:21:03.74 ID:bzATqBdvo
ライブは進行し、ステージ上から音の波が押し寄せてくる。
唯ちゃんのギターからは音があふれ、教室全体に響き渡る。
梓ちゃんのギターは上手く寄り添い、二人の音色が調和する。
田井中さんのドラムはリズムを刻み、みんなの土台となる。
85: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:26:20.80 ID:bzATqBdvo
間奏の部分で唯ちゃんと梓ちゃんが向かい合い、お互いの演奏を見合う。
二本のギターが音を奏で、特別な音色を作り出した。
不意に音の数が減り、唯ちゃんの優しい歌声が強調される。
同時に奏でられるのは琴吹さんのキーボード。
86: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:29:57.57 ID:bzATqBdvo
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もうすぐ高校生活が終わる、私は上手くやってこれただろうか。
特に大きな事件もなく平穏に過ごせたことは喜ぶべきなのだろう。
一年のころは周囲と打ち解けられず寂しい思いをした。
87: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:31:44.79 ID:bzATqBdvo
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卒業式とはいっても、朝の教室はいつも通りだ。
寄せ書きは鮮やかな色彩で飾られていた。
88: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:33:55.76 ID:bzATqBdvo
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講堂の前、女性教師が生徒たちに号令をかける。
「それでは、在校生は卒業生に花を付けて下さい」
89: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:35:22.61 ID:bzATqBdvo
「あんまり焦らなくてもいいよ、時間あるから」
小さく言うと、彼女の表情が和らいだ。
待っている間、かすかな桜色を見上げ、
淡い色が木を埋め尽くす姿を思い浮かべていた。
90: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:39:23.63 ID:bzATqBdvo
みんな花を付けられ、講堂へ向かおうとしたころ、
唯ちゃんたちを見つめている女の子に気付いた。
軽音部の唯一の後輩である梓ちゃんだ。
彼女にも思うところがあるのだろう。
91: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:42:52.91 ID:bzATqBdvo
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卒業式自体はつつがなく終わった。
式が終わり、卒業証書を配り終わったあとの教室、
山中先生が名残惜しそうに教壇に立つ。
92: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 22:44:52.68 ID:bzATqBdvo
「先生! あの……私達から先生に感謝を込めて渡したいものがあります」
そこまで言ったあと、先生の「え……」という声で気が付いた。
「今、持ってるの誰だっけ?」
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