6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/06/11(月) 19:43:40.36 ID:mM4hAfqU0
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澪の眼前には、連れ添って下校する律といちごの姿があった。
人通りが少なくなった頃合いを見計らって、澪は後ろから話し掛けた。
「おい」
「ん?」
律といちごは、同時に振り向いた。
律は短い声を放ち、いちごは黙ったまま。
「あのさ、あんまり、いちごと一緒に居ない方がいいと思うけど」
澪はいちごが居る事を無視して、律へと言った。
「いや、何で?」
そう返す律の表情には、怪訝とも倦厭とも取れる表情が浮かんでいる。
「変な噂が立つぞ。いや、既に立ってる。
二人が付き合ってるって、そういう噂が」
三日程前から、澪の周囲にそういう話をする者が表れ始めた。
早くも今となっては、事実として周囲には受け止められている。
「噂?何言ってんだよ、事実だよ。公言してる事だし。
ていうか、澪も聞いてるはずじゃん?」
律の声には、心底呆れたような倦んだ響きがあった。
「ああ、冗談か何かだと思ってたよ。
そういう冗談も控えた方がいいって、忠告したかったんだ。
悪戯好きな律の性格は知り尽くしてるけど、度が過ぎると既成事実にされちゃうぞ」
自分に都合の良い話だけ、信じていたかった。
都合の悪い話など、信じたくなかった。
それが多くの人間が陥る典型例だと自覚していながらも、澪は抗うように言った。
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