過去ログ - 澪「red zone」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/06/11(月) 19:47:30.49 ID:mM4hAfqU0

「何って、澪が病的に律の話を信じないから、治してあげようと思って。
冗談や悪戯でキスまではしないでしょ?
これで、信じてくれた?」

 澪に詰め寄られているにも関わらず、いちごは落ち着いた態度で言葉を返してきた。
律の恋人だという確たる地盤が、その余裕に繋がっているのだろう。

「お前っ、律を誑かすなよっ」

 澪は苦し紛れに叫ぶと、いちごの両肩を更に強く締め上げた。
いちごの表情から冷静さが消え、痛みを訴えるように端正な顔が歪む。

「止めてっ、いちごに乱暴な事しないでっ」

 叫びながら割り込んできた律によって、澪は突き飛ばされた。
勢い余って身体が自動販売機に激突したが、律に気にした風は見られない。
守るようにいちごの前に立って、澪を睨み付けてくるだけだった。

「痛っ、何するんだよ、律。いいか?お前は騙されてるだけなんだ。
今ならまだ間に合う。私の所に帰って来いよ。
そんな悪の帝王みたいな女に入れあげても、決して幸福にはなれないよ」

「おい、私のいちごに、酷い事言うなよ。
私は騙されてなんかいない、誑かされてもいない。
私もいちごも、愛し合っているんだよ。澪の入る余地なんか、何処にも無いんだよ」

 諭すように言い聞かせた澪に対し、語勢を強めた律の言葉が返ってきた。

「お前……じゃあ、じゃあ何か?
騙されてたのは、私の方だっていうのか?
私を騙してたのが、お前だったって言うのか?
律、前に言ってたじゃないか。私の事好きだって、肌だって重ねた仲じゃないか」

 澪は縋るように言った。
脳裏の中では、未だ自分に甘えてくる律の姿を思いだせる。
それが眼前の律とは対照的なまでに異なっていて、
落差の激しさに澪は現実感さえ喪失しそうだった。



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