9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/06/11(月) 19:49:43.60 ID:mM4hAfqU0
「あんなの、その場の雰囲気に飲まれてただけだし。
あの時、身体の調子崩して弱ってたし」
二年の始めの時の話だった。
あの時、確かに律から愛されていたと、澪には断言できる。
和と澪が仲良くしているだけで、律は嫉妬に駆られた行動を取っていた。
その時に律が体調を崩した原因も、澪との距離感が起こした心因性のものだったはずだ。
だが今や、律はその時の恋心そのものを否定していた。
雰囲気という一言で、澪との過去を唾棄してしまっている。
「律……お前……」
呆然と呟く澪を余所に、いちごが割り込んでくる。
「ああ、つまり。
律が体調を崩しているのを良い事に、澪が押し倒してきたんだ。
律、可哀想。
誑かしてるのは私じゃなくて、澪の方だったと」
最後にいちごは、皮肉めいた笑みを浮かべた。
いちごが表情に変化を付ける事は、少なくとも澪の前では珍しい事だった。
先程、澪から受けた痛罵を根に持っているのかもしれない。
「でももう、目が覚めたよ。私はさ、いちごが好きなんだから」
律はいちごに同調して言った。
澪がいちごを罵った時とは、対照的な反応だった。
「律……私、何か悪い事したの?
それとも、やっぱりいちごの事が好きになったから、私なんてどうでも良くなったの?」
今更原因を求めても、遅い事は分かっている。
それでも澪は、問わずにはいられなかった。
「別にいちごの事とは、関係ないよ。
いちごと付き合うようになったのは、三日くらい前からだし。
いちごの事を好きになったのはもっともっと前だけど、
澪の事はそれ以前から、しつこいと思ってたよ。
ていうか、遠回しに別れを告げても、澪には通じなかったし。
直接言うと、お前怖そうだもんな。だからこれ、乗り換えとかじゃないよ」
思い当たる節ならあった。
律の澪に対する態度が、日に日に冷たくなっていったのだ。
澪は何とか律の心を取り戻そうと、必死のアプローチを繰り返していた。
それとても負の効果となって、律と自分を遠ざける結果になっていたらしい。
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