過去ログ - けいおん、after story
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2012/06/12(火) 15:57:16.69 ID:A+SE7um0o
カフェまで歩いて10分くらい。時計をみる。丁度1時10分。
まだ余裕があるけど、どうしようかなあ。
とりあえずバッグをのぞく。携帯をみる。ううん、コンビ二で立ち読みでもしようかな。
ん、と伸びをして鞄を肩にかける。また少し中をのぞく。忘れ物はないかな?大丈夫だよね。
ドアノブに手をかけて、息をふぅっと深く吐き、ドアをあける。もちろん明るい。
太陽の眩しいのをみると、なんだか自分の影の部分が濃くなった気がする。
気づいて、バックからMP3プレイヤーを取り出し、音の鳴る耳栓をつめる。
唯先輩の曲はこんなにも明るいのに、圧迫感は感じない。後ろめたさも、感じさせない。
きっと唯先輩自身が、自分の影をそれでいて隠さないからだと思う。
なんとなくエレベーターを避けて、階段でマンションを下る。ギターがないと、だいぶん楽だ。
コンビニは歩いてすぐ着いた。雑誌のコーナーに向かう。
ええと、音楽雑誌・・・唯先輩、また乗ってるよ。
ぺらぺらめくりながら、目ざとく発見しては心の中でその記事を音読する。
来週、新しいシングルが出るのはもちろん知っている。
もちろん買う。CDデッキはあの日から、発売日を逃すことなく順調に埋まり続けている。
HTTのことは、世間には軽音楽部として知られている。唯先輩はそのことについて語ることをしない。
私たちも良く理解して、その態度を肯定している。
もう汚されない思い出。それは郷愁とは違って、決して足をひっぱらない。私たちは重大に扱う。
記事を読み終えて、息をつく。時間はあるし、ほかのページにも目を通す。
なんだかんだ、私が生まれる前と今を比べても、音楽界が変わったとは思えない。
それなりに人気のあるバンドがいて、アイドル歌手がいて、ややアングラなバンドもこっそりと活動をして。
浮かんでは沈んでくことを理解した上で、ヒットチャートに一列で並ぶ。
私なんかは、そこに名前を刻むことさえしていないから、誰も馬鹿にすることはできない。
生まれては消えて、そういうもんでしょ。しゃぼん玉は儚くて美しい。
雑誌に意識を戻す。名前の知らないわずかなバンドに目をつけて、唯先輩のCDを買うついでに、一応聞いておこうかなあと思う。
雑誌を置く。時間はまだ少しある。ガムを買って、コンビニを出る。空を見上げて、雲の無いのを確認する。
ゆっくりゆっくり、確かめるように足を出し、地面をみる。最近は沈むことも多いけど、生きるってそういうことなのかなあ、って思う。
憂と会いたい。いつも会ってるけど。親友ってこういうことなんだ、って教えてくれたのは憂。
いろんな人から、いろんなものをもらって、私になってるんだなあ、って改めて思うと、感謝も、幸せも、きちんと分かる。
あと5分。そこの角。もう憂はいるかな?って、途端に足がはやる。
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