過去ログ - 垣根「そんな垣根は飛び越えてやる」
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2: ◆VciN2PRcsw[ saga]
2012/06/13(水) 01:08:23.62 ID:y6UXbsMw0
よく晴れた暖かい日の昼下がり。
3: ◆VciN2PRcsw[ saga]
2012/06/13(水) 01:09:43.01 ID:y6UXbsMw0
金と茶の中間辺りの色をした髪の、それなりに高身長の少年は両手をポケットに突っこんだまま、だるそうに歩いている。
すれ違った女性の十人に九人ほどが振り返りそうな整った顔立ちをしたこの少年の名は垣根帝督。
二百三十万もの人間を抱える学園都市の頂点、七人しか存在しないレベル5の第二位に君臨する科学サイド最強クラスの怪物だ。
垣根は『スクール』と呼ばれる学園都市の裏側で活動する暗部のリーダーでもあるのだが、彼も書類上は学園都市内で最高峰の学校に通っている学生であり、表の人間に混じって買い物をしたり映画を見に行ったり、お洒落なカフェに行ったりもするのだ。
4: ◆VciN2PRcsw[ saga]
2012/06/13(水) 01:11:01.79 ID:y6UXbsMw0
(クソ、面倒くせぇ……が、行かねぇと行かねぇで余計面倒くせぇ事になるんだよなチクショウ)
すれ違いざまに垣根と肩がぶつかったスキルアウトらしき不良少年が垣根を睨むが、振り返った垣根が睨み返すと少年はコソコソとその場を去って行った。
5: ◆VciN2PRcsw[saga]
2012/06/13(水) 01:12:08.42 ID:y6UXbsMw0
「あら、来てくれたんですね」
そんな阿修羅的雰囲気を纏う垣根に声がかけられた。
今の垣根に声をかけるのには相当な勇気が必要なはずだが、声の主はまるで幼子に声をかけているかのような、穏やかな口調だった。
6: ◆VciN2PRcsw[saga]
2012/06/13(水) 01:13:03.49 ID:y6UXbsMw0
7: ◆VciN2PRcsw[saga]
2012/06/13(水) 01:14:11.76 ID:y6UXbsMw0
「まぁまぁ。今度私がご飯を作ってあげますよ」
「あ? アンタ料理出来んの?」
「やった事はありませんが、雰囲気でどうにかなるでしょう」
8: ◆VciN2PRcsw[saga]
2012/06/13(水) 01:16:29.64 ID:y6UXbsMw0
声の主は女性だった。
やや薄めの茶色の長い髪を、後頭部辺りで白いリボンを使い束ねている。少女と言う程幼くはないが、若く綺麗な人だ。
それだけならば、お洒落なカフェが良く似合う美人のお姉さんという表現でぴったりかもしれない。
9: ◆VciN2PRcsw[saga]
2012/06/13(水) 01:18:07.73 ID:y6UXbsMw0
「失礼な、私にだって一般女性的感性はあるんですよ?」
「へぇ、たとえば?」
「うーん、そうですねぇ……あ、ホラー映画とか嫌いですよ? 本物より血や臓物がチャチですし、殺し方も非科学的なうえに効率が悪くてイライラします」
10: ◆VciN2PRcsw[saga]
2012/06/13(水) 01:20:51.05 ID:y6UXbsMw0
「ここのお店は円周ちゃんが教えてくれたんですけれど、案外美味しいんですよ」
まるで部屋に置くインテリアのように凝った造形のモンブランを小さなフォークで少しずつ食べる病理。
垣根はそんな様子を静かに見つめながら
11: ◆VciN2PRcsw[saga]
2012/06/13(水) 01:21:57.76 ID:y6UXbsMw0
垣根が潔く頭を下げ、何とか許しを得て顔を上げると、店の中から出てきた店員が垣根の元へ一直線に近づいてくるのが見えた。
お待たせしましたー、という声と共に垣根の前にサンドイッチと紅茶が置かれる。
チキンカツやレタスやトマトなど、たくさんの食材が挟まれているサンドイッチを見て垣根はゴクリと喉を鳴らした。
12: ◆VciN2PRcsw[saga]
2012/06/13(水) 01:22:36.02 ID:y6UXbsMw0
「……つーかさ、何で俺の事呼んだんだよ」
「それはいつもの通りです。垣根帝督」
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