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過去ログ - QB「魔法少女達の軌跡」

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230:激弾・紅孔雀[saga]
2012/12/06(木) 20:23:36.96 ID:U3hwOY4R0
３．笑って死ねる位には強いからね!!

　飛んできた斬撃は、仮に当たったら一溜りも無い攻撃力だろう。体が二分割になる程度の破壊力は有る筈だ。
「……退治の前に余計な事は感心しない」
　刀を鞘に納めながら、頭にバンダナを巻いた魔法少女は言い放った。
　日本刀に加えて、紺一色の浴衣装束。正しく侍を連想させる魔法少女は、ゆっくりと圭達の前に歩んでくる。
「テメェ……!!」
　知美がその魔法少女を見るや否や、奥歯を噛み締めた。
「……顔見知りか？」
「……ああ。こいつは、東地区の魔法少女、相馬和っていけすかねー奴さ。
　何回か勝負仕掛けてるけど、全部ビビって逃げてる癖に、態度だけはデカいんだ!!」
（……お前が言うな）
　知美の鼻息は随分と荒く、圭は呆れながらも、鋭い視線で和の動向をうかがっていた。
「ウチは、アンタみたいなバカと一々張り合う気は無い。それこそ、魔力と時間の無駄」
「言わせておけば……!!」
　和の挑発に、知美は飛び掛からんばかりの勢いで薙刀を構える。
「魔女を倒す前に、揉めちゃダメだよ!!」
　洋子は何とか食い止めようと、声を荒げた。
「和……この縄張りは、君の物では無い筈だよ？」
　そう問いかけたキュウべえは、洋子の肩から飛び降りた。
「……別に、縄張りを争う気も無い。グリーフシードを横取りするつもりも無い。
　ただ、見極めに来ただけ」
　和ははっきりと言った。
「……何が言いたいんだよ？」
　圭は牽制気味に、言葉を告げる。
「簡単さ。この結界に潜む魔女はかなり強い。三人程度で倒すには、かなり分が悪い」
「……」
「魔法少女って存在は、名前以上に血生臭い戦いを強いられる……この先ずっとね。毎日毎日、血を見ない日は無くなる。本当に死ぬ事と、隣り合わせの生活になる。
　それを受け入れる覚悟が無いのなら、今日は大人しく帰って、今後は弱い魔女だけ狩って安全に過ごすべき。
　ここで質問。貴方達は、どうする？」
　和の口から出た、突然の質問。
「フン……あたしが負ける訳ないじゃん!!」
　知美は強気の言葉を吐き出した。根拠の無い自信と共に、和を鋭く睨む。
「私は強く無いけど……魔女を見過ごす事が出来ないから、戦うよ!!」
　洋子も、真っ直ぐな視線で和の眼を見つめている。
「……」
　しかし、圭は何も答えない。ただ無言で、近くのコンクリート壁に歩み寄った。
「……だっしゃぁ!!」
　気合の雄叫びと共に、壁に向けて回し蹴りをぶちかす。強烈な蹴り技で、分厚いコンクリート壁に風穴を空けていた。
「アタシはねぇ……笑って死ねる位には強いよ!!」
　圭は、ニヤリと笑う。
「……決まりか」
　和の口元が、微妙に笑みを作っていた。

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