過去ログ - P「お前の夢にはついていけない」律子「……そう」
1- 20
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/06/22(金) 21:59:01.31 ID:FuSozdXdo
第一話『DREAM』




「はあ……」

 日本中を虜に出来るその顔を憂鬱に染めて彼女は一つため息を吐く。
 その視線は、周囲のがらんとした情景に向かっている。
 そこは立派なオフィスであったが、彼女を除いて誰一人いない。机も棚も、全てがぴかぴかの新品で、使われた様子がまるでなかった。
 ここが、彼女の新しい城、新しい夢の舞台……となるはずであった。

 だが、彼女は――つい先日までトップアイドルの座に輝いていた秋月律子という女性は、その夢の礎となるパートナーを得ることに失敗した。
 会社を立ち上げ、事務所を借り、内装まで整え、その一方で引退コンサートを大成功に終わらせながら、肝心要の人物を手に入れ損ねた。
 彼女をトップアイドルに育て上げたプロデューサーは、新たな道を彼女と共に歩くことを拒絶し、765プロに残ることを選んだのだ。

「一人には広すぎるのよね……」

 律子が自嘲気味に呟き、さらなる負の感情に呑み込まれそうになったところで、一つの声が響いた。

「おはようございまーす! 律子姉ちゃんいますか?」
「え? 涼?」

 ひょいと戸口に顔を出したのは秋月涼。
 柔らかな顔立ちをした少年は、律子の従弟であり――おそらく当人は不服であろうが――元女装アイドルとして有名な人物である。
 彼は律子を認めると、途端に弾けるような笑顔になった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
503Res/439.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice