過去ログ - P「お前の夢にはついていけない」律子「……そう」
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91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/09(木) 21:51:03.78 ID:ZWtIHh/+o
「亜美ちゃんが……引退?」

 事務所のテレビ画面に流れるテロップに、細いが、紛れもない驚きの声をあげるのは、水谷絵理。
 彼女の横では、絵理のプロデューサーたる尾崎玲子が同じように画面を見つめている。
 そして、その画面の中では、いつも元気な表情を浮かべているはずの少女が沈痛な面持ちで下を向いていた。

「あれ……?」

 ぽかんと口を開けつつ、目を離せずにいた絵理は、なにかに気づいたように目を見開き、小首を傾げる。

「これ、真美ちゃん?」
「そうみたいね」

 双海亜美が実は双子で、交替でアイドルをやっているというのは業界では周知の事実だ。また、ファンの一部も知っていながら、黙っていてくれて
いるらしいということも、絵理は亜美たちから聞いている。
 引退会見という場に亜美自身が出てこないというのは――考えづらいことではあるにせよ――ないというわけでもないだろう。

 だが、亜美を演じる時に必ず普段の亜美にあわせているはずの髪留めの位置を逆にしたまま出てくるなどということがありえようか。
 それでは、亜美を演じる意味が無くなってしまう。
 しかし、何度見ても真美の髪留めは、亜美のそれとは位置が違う。

 画面の中では、なにか不祥事でも起こしたかのような雰囲気のまま、ぽつりぽつりと力なく、真美が言葉を紡いでいる。
 皆に謝罪するというようなことを述べているのだが、言いたいことは今ひとつ伝わってこない。そんな話し方であった。

「えっと……」

 戸惑う絵理。普段ならそれに対して安心させるように声をかけてくれる人物は、ただ黙ったままであった。それがさらに絵理を戸惑わせる。

『だから……みんなにウソついてたことは謝らなきゃって思うし……』


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