15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/06/29(金) 21:21:24.20 ID:x1fUeowO0
振り向いた幼馴染と、バッチリ目が合った。
「あは、ははは。」
自分の悩みの程度の低さに思わず気の抜けた笑いがこみ上げた。
幼馴染は笑わず、あのねと言い私の名前を呼んだ。
「平凡っていけない事なの?」
スカイブルーの夏空と長い歩道を背景に、幼馴染はこっちを見つめる。
私には問いの答えが返せない。
「私は、別にいいと思うよ。」
幼馴染は私の代わりに答えを告げる。
彼女の短い黒髪はスカイブルーの夏空にくっきりと輪郭線をつけていた。
心地いい風が吹いて、二人の紺色のスカートがたなびく。
幼馴染の言葉は、私の悩みを全部解消してくれるようなものではなかったけれど、
さっきのホームルーム中のどんよりした感じよりはマシになった気がした。
「私、上手く言えないけど・・・」
少し間が空いた。
だけど、他の事には集中できなかった。
背を伸ばし過ぎて垂れた雑草も
涼しい風に揺れる木の葉も
歩道に捨てられたゴミも
歩行者マークの標識も
何も鮮明には見えなかった。
目の前の幼馴染だけが、鮮明に見えた。
「こういうことって、ある日パッと変わっちゃうんじゃないかしら。」
少しはにかむ幼馴染はそう言うと、
普段から不安な事があるなら、無理せずちゃんと言ってね。
そう私に促した。
私は、悩みが全部解消しなくても、
私の馬鹿らしい悩みに真剣に向き合ってくれる相手が居ることで、
少しだけ、それでもいいかって思えるようになった。
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