過去ログ - 妹「殺人を犯しました」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/06/28(木) 05:08:50.13 ID:EJ9MWvt0o
 どうしても耐え難かったのです。
 殺人の衝動が、ではありません。
 兄さんへの肉欲が、です。
 私は兄さんを襲い、犯し、貪る代償行為として人を殺しているのです。
 人は私を狂っていると仰るでしょう。
 違うのです。私は狂わないために人を殺しているのです。
 想像できるでしょうか。
 あなたは餓え渇いた一匹の狼です。
 その牙も爪も本来の役目を全うせず、あなたは今死に絶えようとしています。
 ところが目の前に、一匹の羊が現れます。
 なんて可愛らしく……そして、美味しそうな羊。
 しかしあなたは羊を食べられません。
 だって羊は、あなたのお兄さんなんですから。
 狼の兄が羊のはずがない? ええ、そうですね。そのはずなのです。
 なのに私は兄さんの妹なのです。
 ……この獣じみた性根こそが私の本性だというのに!
 
 そうしていくつもの真実が掌を零れ落ちました。
 犠牲者はいつも、どこか少し兄さんに似ています。
 語りかける声が、細長い指が、見下ろす眼差しが、サラサラの髪が、
 その何処かに兄さんを見つけては、バラバラにして真実を探しました。
 すべて覚えてる。誰のものとも知れない表情のすべてが兄さんの顔をして浮かんでくる。
 破滅の足音はひたひたと近づいています。
 そう遠くない未来、警察は私を見つけるでしょう。しかしそれよりも早く破滅は訪れるでしょう。
 予感は誤魔化しの利かない確信に変わりつつあります。
 なぜなら、もう私が死者から得られる真実も高揚も、尽きつつあるからです。
 次に肉欲の飢餓の限界を感じた時 私が得物を探しに街を歩くことはないでしょう。
 探すまでもなく、獲物はすぐ傍にあるのですから。
 最後に見つける真実が何であれ、私は幸福の中で死ねることでしょう。
 しかし、もし兄さんが嘘偽りない心に私と同じ愛を宿していてくれたなら、
 私は、この血と肉と骨と、そこに宿る心と魂の全てを兄さんに捧げると誓います。
 ですから兄さん、どうか私を犯して殺して貪り尽くし、永久にひとつにしてください。
 愛しています、兄さん。


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