4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/29(金) 00:01:30.26 ID:bc4AD3lO0
俺の仕事は映画館の管理だ。
先代の館長は俺が聖天使学園から帰った時には死んでいた。アクエリオンの戦闘に巻き込まれたのか、どうか、知らないけど。
その後、館長の遺族からの打診を受け、俺がこの映画館の館長になった。
アクエリアに舞う空もたまに上映しているが、大体は最近の話題作。方向性を変えた。ストレートに言ってしまうと、普通の映画館にした。
「その辺に座ってて。タオル取ってくるから」
濡れたままのゼシカを部屋まで案内した。
俺は映画館の二階にある管理人室に住んでいる。一人暮らしには広すぎるぐらいの空間に、ポスターとかプラモデルとか、安物の皿とか煙草の灰皿とかがぶちまけられていた。
いくら顔見知りが相手とはいえ、少々気恥ずかしいものがある。タオルを取ってきたら片付けよう。
階段を下りていると、そろそろ行う予定の映画会社との打ち合わせがふと脳裏に浮かんだ。
今の売れ筋は子供向けの特撮モノ。戦争が終わって、人々がハードなアクションよりハッピーエンドの約束されたヒーロー活劇を嗜好するようになった、とどこかの学者が偉そうに語っていたのを思い出した。今回もやはりそういった映画が多いのだろう。
洗面所に下りて、タオルを二枚手に取る。
「はい」
「……うん」
覇気のない返事。俺は彼女に気を遣うこともなく、胸ポケットから煙草のケースを取り出した。良かった、湿気ていない。
「吸ってるの」
驚いたように彼女が顔を上げる。そんなに意外だったのか。
僕は頷いてから部屋の隅に転がっているライターを拾い上げた。
火をつける。紫煙が肺を満たし、部屋の空気を汚した。ゼシカが少し嫌そうな表情をした。
「体に悪そう」
「悪くなきゃ煙草じゃない」
「体を悪くするために吸ってるの?」
「割り切ってるだけだよ」
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