8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/29(金) 00:44:41.19 ID:bc4AD3lO0
くだらない。俺は半分ほどに減った煙草を灰皿に押し付けた。
来月の上映スケジュールの組み立てとか、やることはいくらでもあるのに。こいつに構ってる暇はない。
「あ、あのさ」
「何?」
焦ったような上擦った声。俺は振り向かず、背中だけで続きを急かした。
彼女は言葉を続ける。
「泊めてほしいの」
「家に帰って」
「今、家、ないから」
意味わかんねぇ。
思わず振り向いた。いつの間にか、大きな瞳から涙がポロポロと零れ落ちている。
「私、卒業したら、軍隊に入るつもりで。アクエリオンのパイロットとして、働くつもりだったの」
ああ、アンディやMIX、ユノハやカイエン。ほとんどが現役のパイロットさ。
「でも、私、合格できなかった。軍人になれなかった」
痛切な瞳
震える肩
クソッ、放っといても、仕事に手がつかないな、これ。
「何で」
「私が、アルテア側についてたから」
……神話型の時の、ことか。
軍としては、私怨のために自分たちの世界を滅ぼそうとしていたヤツに体を貸していた女など、入れたくないだろう。
彼女のパイロットとしての腕は間違いなく一流だ。じゃなきゃ、あれだけの戦いを生き延びることはできなかった。
「今までは、友達の家に居候させてもらって、アルバイトとかも住み込みのをしたりして、それで……」
ドラマみたいな話だった。
でも別に同情はしない。町の少し暗い所に関わっていれば、ゼシカより不運なヤツらはいっぱいいる。
彼女は五体満足で生きてる。それだけでも滅多物だ。
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