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2012/07/10(火) 22:51:23.83 ID:+4dL4SV/0
昼休み 2−A教室
絢辻「橘君お昼一緒にここで食べない?」
橘「うん? でも僕お弁当は持ってきてないよ」
絢辻「実はあたし橘君のお昼用のお弁当持ってきてたの。ダメかな」
橘(そ、そんな悲しそうな目で見られたら断れるわけないじゃないか)
「食べよう。一緒に食べよう!」
僕と絢辻さんは机をくっつけ向かい合って座った。
絢辻さんは僕用のお弁当を見せてくれた。
そこには色とりどりの綺麗で美味しそうな食べ物があった。
このお弁当を食べることが出来る男は何て幸せ者だろう。
橘「これ、絢辻さんが作ったんだよね?」
絢辻「お弁当の半分はそうよ」
橘「え、半分?」
絢辻「残りの半分は美也ちゃんが作ったのよ。あたしが教えながらだけど。」
橘「美也の奴、何だってそんなことを」
絢辻「美也ちゃんは自分がお弁当を上手に作れるようになる為に橘君を練習台にするんだって言ってたけど、本心は違うんじゃないかな? ちょっと照れてた感じで言ってたし」
橘「いや美也のことだ、僕を踏み台にするくらいにしか思ってないよあいつは。うーん食べて大丈夫なものなのか。見た目は良くても変な隠し味入れたことがあるからなあ」
絢辻「もー、それじゃあ美也ちゃんが可愛そうじゃない。一生懸命作ってたんだから。橘君、ここはあたしに免じて食べてあげて」
橘「絢辻さんがそこまで言うなら食べるよ」
パクッ
モグモグ
絢辻「どうかしら?」
橘「美味しい。美也の奴やれば出来るじゃないか」
絢辻「そうでしょう。今の言葉、美也ちゃんにも伝えてあげてね。きっと喜ぶと思うから」
橘「そうするよ。ところで絢辻さんのお弁当は自分で作ったんだよね?」
絢辻「そうよ」
橘「…今日はおにぎりじゃないんだね」
絢辻「? 橘君がお弁当なのにあたしがおにぎりだけって変じゃない。あたしのお弁当は橘君のお弁当を作るついでに作ったのよ。その方が作る効率も良かったから。」
橘「そ、そうだよね」
絢辻「それにしても美也ちゃんと一緒にお弁当作るの楽しかったわ。姉妹の共同作業で作ったって感じで。家では家族と何か食事を一緒に作るなんてなかったから。実は今日のお弁当はお姉ちゃんがいつも作ってたお弁当を思い出して、記憶を頼りに作ったものなの。お姉ちゃんが作ったものよりは劣ってるかもしれないけど」
橘「そんなことない! このお弁当はとても綺麗だし、美味しい。何より絢辻さんと美也の思いがすごく込められてるよ!!」
絢辻「ありがとう。橘君」
橘(それにしても、お姉さんの話題を普通に出してる。絢辻さん…いや、白辻さん。君も黒辻さんと同じ様に以前の『絢辻』さんとは違う存在なのかな?)
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