過去ログ - 梓「サナララ」
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118:猫宮[saga]
2012/12/12(水) 19:04:01.72 ID:re/6Yyqf0
やっぱり。
私は、憂ちゃんを優しくないとは思わない。
我儘だとも思わない。
憂ちゃんは唯さんの事を心の底から大切にしてる。
単純にお願い出来ないくらい、唯さんの事を大事にしようとしてる。
それは間違いなく憂ちゃんの優しさで、そんな選択が出来る憂ちゃんと知り合えた事を誇りに思えた。
まだ数日の付き合いだけど、そんな考え方が出来る子が居たんだ……。
だったら、私は……、私も……。


「憂ちゃんは……」


憂ちゃんの胸の中で、私は小さく声を出した。
憂ちゃんは望んでないかもしれないけど、この気持ちだけは伝えなきゃいけない気がした。
どうしても、想いを伝えたかったんだ。


「憂ちゃんは優しいよ」


私がそう伝えると、憂ちゃんは自分の胸の中から私を解放した。
私の両肩に手を置いて、複雑そうな表情を浮かべて私と視線を合わせる。
それから、私は……。
……。

深呼吸。
私はまだ残っている涙の跡を拭ってから、憂ちゃんの瞳をまっすぐに見つめる。
それから、私は……、私は、笑ったんだ。
上手く笑えてる自信なんて無い。
自分の笑顔に説得力がある気もしない。
でも、笑顔を見せなきゃいけないって思った。
逃げていた私。
泣いていた私。
そんな私じゃ憂ちゃんの優しさを証明出来ないから。
私は笑顔を憂ちゃんに向けるんだ。
あんまり上手く出来てない笑顔だと自分だと思うけど、それでも……。


「梓ちゃん……」


憂ちゃんが少しだけ戸惑った表情を見せる。
私の笑顔の意味が掴めてないんだろうか。
それとも、やっぱり私の笑顔がちぐはぐだったのかも。
私の想いを上手く伝えられなかったのかな……?

そうして私の胸に不安が生まれ始めた頃、
憂ちゃんはまた勢いよく私の頭を自分の胸の中に抱き締めた。
憂ちゃんが私の笑顔をどう捉えたのかは分からない。
単に私をまた抱き締めたくなっただけかもしれない。
でも、確かに私は見たんだ。
私を抱き締める一瞬前の憂ちゃんの表情が、今まで見た中で一番輝いた笑顔だったのを。


「ありがとう、梓ちゃん……」


憂ちゃんが私の耳元でそう優しく囁いてくれた。


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