過去ログ - 梓「サナララ」
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143:猫宮
2013/01/14(月) 17:58:20.84 ID:OG1fw1mi0
そう、伝える。
胸を張って。
いつか本当の意味で胸を張れるように。


「ありがとう、梓ちゃん」


憂ちゃんが、笑顔を浮かべる。
胸を張って、まっすぐに私に視線を向ける。
本当の想いを込めて、言ってくれる。


「実を言うと私の『お願い』はね……、
梓ちゃんが言う通り叶うまでに時間が掛かるお願いだったんだよ。
正直に話せばよかったんだけど、まだそれは駄目、って思ったんだ。
まだ私や梓ちゃんのためにならないって思ったんだ。
梓ちゃんが本当に大切な『お願い』を見つけるまでは……。

だから……、私の『お願い』が何か梓ちゃんに伝えるの、
もうちょっとだけ……、もう少しだけ……、待っててくれる……?」


意外な言葉だった。
まさか私に自分の『お願い』を伝えるつもりだなんて……。
それも私のために黙っておこうと思っていてくれるなんて……。
いいのかな? って思った。
私にそんな事をしてもらう価値があるのかな、って。
私にそんな価値があるだなんて、まだ思えない。
でも、私が自分自身を否定するのは、
私の事を考えてくれている憂ちゃんを否定するって事でもあるよね……。
そんな事……、しちゃ駄目だよね……!

私は憂ちゃんの手を取って、額がぶつかるくらい間近で瞳と視線を合わせる。
胸を張って、見つめ合う。
想いを言葉に乗せる。


「うん……!
待つよ、憂ちゃん……!
でも、無理はしないでね。
憂ちゃんが私に伝えたいって本当に心から思った時、その時にでいいから。
私、憂ちゃんがそう思ってくれるような『お願い』を絶対に見つけるから……!
頑張るから……!」


「……うんっ、分かったよ、梓ちゃん!」


間近で視線を合わせ、手を握り合う私達。
笑顔の決心。
その私達の隣では……。
キャサリンさんの指導に奮起した吹奏楽部の皆さんが、ミスの無い見事な音楽を奏でている。


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