154:猫宮
2013/02/02(土) 18:52:53.16 ID:hf4xg+FT0
「ど……、どうしたの、憂ちゃん?」
「あ、梓ちゃん……。
私……、私……!
と、とんでもない事を……、しちゃって……」
「お、落ち着いて、憂ちゃん。
何をしちゃったのかちゃんと聞くから、落ち着いて話して……!」
「えっと……、えっとね……」
「うん」
「お姉ちゃんのホットプレートのね……」
「うん……って、ホットプレート……?」
「温度が低かったから……、
生焼けになっちゃうと思って、それで私……!」
「あー……」
最後まで聞かなくても、憂ちゃんの言おうとしている事が分かった。
つまり、憂ちゃんは唯さんのホットプレートの温度を上げたんだ。
唯さんの焼く焼きそばが生焼けにならないように……。
それは純粋な憂ちゃんの思いやりだったんだけど、
そのせいで限界寸前の電力で保っていたブレーカーが落ちてしまったんだろう。
勿論、ブレーカーが落ちたのが、憂ちゃんのせいかどうなのかは分からない。
さっきこの教室の誰かが言っていたけど、五組の誰かが電力を使い過ぎたからなのかもしれない。
でも、流石にタイミングが良過ぎるよね。
例え直接の原因じゃなかったとしても、憂ちゃんが自分の責任だと感じてしまうのも仕方無い。
「お姉ちゃんの邪魔しちゃった……」
独り言みたいに憂ちゃんが呟く。
何だか凄く落ち込んじゃってるみたい。
クラスの人達も誰もそんなに困ってないみたいだし、そんなに大きな失敗じゃないのに……。
でも、それだけ憂ちゃんが唯さんの事を大切にしてる、って意味なんだよね。
考えてみれば、私には憂ちゃんの今の様子を大袈裟だって言う事は出来ない。
私だって同じだから。
夢の事で一人で勝手に悩んで、勝手に泣いて、憂ちゃんに八つ当たりして……。
そうなんだよね。
人には個人個人で色んな悩み事がある。
それは本人にしか分からない事で、他人の物差しじゃ計れない事ばかりなんだ……。
でも、不謹慎な気もするけど、私はそれが嬉しかった。
憂ちゃんだって悩んでるんだよね。
叶えたいお願いだって持ってるし、失敗に落ち込んじゃう事もあるんだよね。
そんな当たり前の事が私には分かってなかった。
優しい憂ちゃんに頼り切りで情けなくて、辛かった。
だけど、そういう事じゃなかったんだ。
憂ちゃんはきっと人にはそれぞれの悩みがある事が分かっていたから、
分かってくれていたから、私なんかのために一生懸命になってくれたんだ。
だから、私は今こそ憂ちゃんに笑顔を向けてあげなきゃいけないんだ。
お姉さんの事が大切で仕方が無い憂ちゃんを私も大切にしたいから。
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