167:猫宮[saga]
2013/02/16(土) 18:38:52.55 ID:KxXneJhK0
▽
「りっちゃんと澪ちゃんって幼馴染みなんだよねー?」
突然やって来たキャサリンさんとのちょっとした騒動があって、
軽音楽部の機材を講堂に運び終わった頃、お茶を始めた唯さんが不意にそう言った。
もうすぐライブなのにお茶するなんて、唯さんも律さんも紬さんも本当に度胸が据わってるよね。
何の緊張も感じてないみたいに、律さんが飄々とした表情で唯さんの言葉に応じる。
「そだよー」
「いつから一緒なの?」
「そりゃもう幼稚園からずっといっし……、
あれ? 小学校……からだっけ?」
「幼馴染み違うんかい」
唯さんが呆れた表情で突っ込む。
本当なら澪さんが訂正する所だったんだろうけど、今ここに澪さんは居なかった。
仲間外れにされてる……、ってわけじゃ勿論無い。
澪さんだけ機材の運搬じゃなくて、生徒会との伝達とかをやっていたからなんだよね。
律さん曰く、『危なっかしくて機材は運ばせらんないよ』との事だけど、確かにそうかも。
練習してちょっとは落ち着いたように見えたけど、
でも、やっぱりたまに凄く不安な表情を見せてたもん。
他ならともかく、ボーカルだけは澪さん的に一番やりたくなかったパートだったんだろう。
ボーカルが崩れると演奏全てが崩れてしまうから。
観客の人達は大体がボーカルに注目してしまうものだから……。
それにしても、どうして澪さんはあんなに恥ずかしがりなんだろう?
男言葉だし、あんなにカッコよくて、ベースの腕前もかなりのものなのに……。
「澪ちゃんって小さい頃から恥ずかしがりだったの?」
私の考えを読まれたってわけじゃないと思うけど、
唯さんがタイミングよく私の疑問を律さんに訊ねてくれた。
唯さんも前々から澪さんの恥ずかしがり屋には疑問を抱いていたんだろう。
律さんは目を細めて遠い目になってから、ちょっと微笑んだ。
「そうだぞー。
私が『綺麗な髪だねー』って言ったり、
『すごーい、左利きなんだ! 皆ー、澪ちゃん凄いよー!』って言ったら、
顔真っ赤にして恥ずかしがってたもんなー」
「いや、それ、りっちゃんのせいじゃん!」
「それ、律さんのせいでしょ!」
唯さんと私の突っ込みが見事に重なる。
紬さんは唯さんの方、憂ちゃんは私の方を見ながら何故か穏やかに微笑んでいた。
どうして紬さんと憂ちゃんが微笑んでるのかは分からなかったけど、
今はそんな事より澪さんの恥ずかしがり屋について考える時だった。
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