過去ログ - 梓「サナララ」
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178:猫宮[saga]
2013/02/18(月) 18:33:03.63 ID:mtbqa2Ua0
「ワン・ツー・スリー・フォー・ワン・ツー・スリー!」


律さんがドラムのスティック同士を叩いてリズムを取った。
唯さんのギターの演奏が始まり、澪さんと紬さんがそれに手拍子を合わせる。
軽音楽部の皆さんのライブ……、
『ふわふわ時間(タイム)』の演奏が遂に始まる。
私と憂ちゃんとキャサリンさん和さんと……、
誰よりも軽音楽部の皆さんが望んでた最高の演奏の時間が……!


「君を見てるといつもハートDOKI☆DOKI」


澪さんが旋律に歌声を乗せていく。
ちょっと気恥ずかしくなっちゃう歌詞。
澪さん自身が作詞した甘々な想いの丈。
朗読するだけなら相当恥ずかしい気もする。
でも、音楽に乗せて歌うとなると話は変わって来る。
甘々な歌詞に似つかわしくなく思える疾走感溢れるそのメロディー。
合わせると不思議と旋律と歌詞が合致して、歌詞の意味がそのまま耳と頭に届く。

特訓してたって言ってただけあって、唯さんのギターの腕前は見事だった。
高校生になってからギターを始めたなんて思えないくらい。
その意味では唯さんも私よりよっぽど音楽の才能があるって言える。
でも、もう悔しくない。
唯さんはきっと自分の音楽の才能なんてどうでもいいって考えてる。
そんな事より、ただ音楽と仲間とのセッションを楽しもうって考えてる。
唯さんの表情を見てると、それがよく分かる。
私にはそんな唯さんの姿がただただ眩しい。

律さんと紬さんの演奏も唯さんのギターに華を添える。
紬さんのキーボードのメロディーは優しかったし、
ついこの前まで走り気味だったはずの律さんのドラムは走ってなかった。
ただ唯さんのギターと澪さんの歌声を支えてる。
何だか律さんと紬さんの軽音楽部の中での立ち位置みたい。
信頼し合って、支えてるお二人の姿。


「お気に入りのうさちゃん抱いて」


澪さんが少しずつ笑顔を浮かべながら、歌い続ける。
唯さんのコーラスに支えられて、ちょっと苦笑に似た感じの笑顔で。
ベースの腕前は勿論だったけど、澪さんの歌声は講堂の中に一際印象的に響いてる。
何だ……。
やっぱり澪さんの歌、すっごく上手いじゃない……。
自分の歌に自信が無い私には羨ましい限りだけど、澪さんにとっては別問題なんだろう。
悩み事は人それぞれ。
小さく思える澪さんの悩みだって、本人にとっては大きい物。
私の中で凄く大きく思えてた悩みだって、きっと傍から見ると小さな悩みなんだよね。
だから、私も真正面から向き合おう。
それから、打ち克ちたい。
今の澪さんみたいに、私だって。


「ふわふわ時間……!」


澪さんの歌声が終わり、演奏も終了する。
私の見たかった軽音楽部の皆さんの演奏。
私が本当に手に入れたかったもの……。
聴けて……、見れてよかった。
心の底からそう思う。
私のお願いもこれで決まった。
だけど、その前に私には最後に一つだけやりたい事が出来た。
それは……。


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