過去ログ - 梓「サナララ」
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179:猫宮[saga]
2013/02/18(月) 18:35:42.88 ID:mtbqa2Ua0
「梓ちゃん……!」


不意に感極まった表情で憂ちゃんが言った。
今にも泣き出してしまいそうなくらい、感激した表情。
気が付けば私も目尻に温かい物を感じていた。
泣き出したりまではしなかったけれど、でも、いつの間にか涙ぐんではいた。
軽音楽部の皆さんの演奏が素敵だったのは確かだけど、
でも、それ以上に今感激出来てるのは、隣に憂ちゃんが居る事と無関係じゃない。
一緒に居てくれて、よかった……。
一緒に居てくれて、本当にありがとう、憂ちゃん……!

私達の表情を皮切りに……ってはずはないけど、
でも、ほとんど同じタイミングで観客席から大きな拍手が上がり始める。
お愛想やお世辞の拍手なんかじゃない大きな拍手に、軽音楽部の皆さんが包まれる。
唯さん、律さん、紬さんが清々しい笑顔を浮かべる。
そして、澪さんが戸惑ったように観客席を見渡すと……。


「皆……、ありがとおおおおおおっ!」


澪さんらしからぬ大声で感謝の言葉を叫んだ。
最高のライブに出来たんだ、観客の人達にとっても、澪さんにとっても。
また更に大きな拍手に包まれ、軽音楽部の皆さんが一礼する。
私にとっても夢の様な時間だった。
でも、夢じゃない。
夢にしてちゃいけない。
私の現実にしなきゃいけないんだ……。

澪さん達が舞台袖に下がろうと歩き始めた。
最高のライブの余韻を感じながら、未来に向かって歩いて行く。
私も未来と将来に向かって進まないといけないよね。

……と。


「あっ」


私は思わず呻くみたいに呟いていた。
帰り際、澪さんがベースとアンプを繋げたコードに足を引っ掛けた事に気付いたからだ。
呟いた所で澪さんには聞こえなかったし、もう遅かった。


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