186:猫宮[saga]
2013/02/26(火) 05:26:27.00 ID:W44uIBOk0
私の言葉はそれで終わった。
これ以上の言葉は無理強い過ぎたし、無理に憂ちゃんに付き合ってもらっても辛かった。
これで憂ちゃんが嫌だと言うなら、それも仕方無かった。
それは憂ちゃんが悪いわけじゃなくて、私が憂ちゃんに迷惑しか掛けなかったって事だもんね……。
とても悲しい事だけど、それはそれで私の一つの結果なんだと思うもん……。
憂ちゃんはまだ戸惑った表情を浮かべてる。
私の申し出を断る言葉でも考えてるのかな……?
そう思って胸の痛みを強く感じていると、不意に憂ちゃんが静かに口を開いた。
「楽譜のコピーなんて……、行かなくてもいいよ、梓ちゃん」
「そう……なんだ……」
辛うじてそう言葉には出来たけど、本当は泣き出してしまいそうだった。
自業自得なのは分かってる。
憂ちゃんと出会って、私は憂ちゃんに迷惑ばかり掛けちゃってたもんね。
最後の最後まで憂ちゃんの優しさに頼るなんて、いくら何でも憂ちゃんに失礼だよ……。
辛いけど……、本当に辛いけど……、断ってくれた憂ちゃんに感謝するべきなんだよね。
勇気を最後に出せただけ……、それだけでよかったと思えなきゃ……。
「ごめん……ね、憂ちゃん……。
私、変な事、言っちゃって……」
私は掠れた言葉で呻くみたいに呟いた。
言葉に出せた事が奇跡的なくらい、自分でもその声が掠れてるって分かった。
憂ちゃんは私のその声色に驚いた表情を浮かべてた。
まさか私がこんなに悲しそうな顔をするなんて思ってなかったのかな……?
憂ちゃんは優しい子だから、私の事を思って、
申し出を受け入れてくれる気になってくれたのかもしれない。
でも、そんなのは嫌だ……。
もう憂ちゃんの優しさに頼るだけの私じゃ居たくないよ……。
憂ちゃんがきっと泣き出しそうにしてるんだろう私の表情を見ながら続ける。
「ご、ごめん、梓ちゃん。
私、びっくりして言い方を間違っちゃったみたいで……」
「う、ううん、気にしないで、憂ちゃん……。
はっきり断ってくれてありがとう……。
自分でも……、我侭だって分かってたから、だから……」
「そうじゃなくて……ね。
私はね、梓ちゃん、楽譜のコピーには行かなくていいんだよ、って。
それだけを梓ちゃんに伝えたかったんだよ。
言う順番を間違っちゃって、ごめんね……」
「どういう……事……?」
「実は……ね」
憂ちゃんがとても申し訳無さそうな顔になって、
スカートのポケットの中から綺麗に折り畳まれた紙を取り出した。
厚さからすると五枚くらいはあるだろうか。
憂ちゃんはその紙を開くと、私に静かに手渡してくれた。
その紙に記されていた言葉は……。
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