過去ログ - 梓「サナララ」
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192:猫宮[saga]
2013/03/02(土) 18:41:25.29 ID:8FQpE2Qb0
だけど、同時に思う。
憂ちゃんの技巧は凄いけど、将来的にプロになる事も無いんじゃないかな、って。
勿論、憂ちゃんの技巧に申し分は無い。
これから練習すれば、誰よりも凄い演奏が出来るようになるはず。
でも、プロの音楽ってそういう物じゃ無いんだって事も、私は何となく分かってる。
プロの音楽はたくさんの人に受け入れられる。
限られた人の心だけに残る音楽じゃなくて、たくさんの人が好きになる音楽が演奏出来る。
それはとっても凄い事で、滅多に出来る事じゃ無いし、出来る人こそがプロになっていく。
私はともかく、憂ちゃんの技巧ならそれが出来るようになるかもしれない。
たくさんの人に受け入れられる音楽を今から目指していけば、将来的にはきっと。
それでも、憂ちゃんはそれを求めない。
それはきっと、私の目指してる音楽も同じで……。

うん、やっぱり私は三流だ。
今だけじゃなくて、将来的にもずっと三流のままだと思う。
だけど、でも、三流にだって出来る事、三流だからこそ出来る事があるはずだから……。
だから、今日は精一杯、無理せず一生懸命に頑張ろう。
それが私の本当に求めてた物に繋がるはずだって信じて。

まあ、そのためには、まずちゃんとしたごはんを作らないといけないんだけどね。
料理の本を見ながらなら作れる……よね?
お母さんの手伝いだって結構してたんだし、調理実習もやった事があるし、カレーくらいならきっと……。
あ、不安になって来た。
駄目駄目。
憂ちゃんが練習に専念出来るように頑張らなきゃ……!

それにカレーならお昼ごはんと夜ごはんにしても飽きは来ないはず。
一度作っちゃえば、温めるだけで夜のごはんにも出来るんだもん。
結果的に私達の練習時間を延ばせるはずだもんね。
そうやって、私は憂ちゃんとじっくり楽しく練習するんだ。
じっくりとこんなに優しい憂ちゃんの笑顔と一緒に……。

不意に。
憂ちゃんの笑顔を見ながら、私は胸が強く鼓動するのを感じた。
ずっと訊ねてみたかった事、訊ねようとしながら訊ねられなかった事……。
それを憂ちゃんに訊ねておくべきだ、って私の胸が叫んでるみたいに。
憂ちゃんと私が笑顔で居られる内に……。

二度、大きな深呼吸。
それから、私は出来るだけの笑顔を浮かべて、憂ちゃんに訊ねてみた。
ある意味、私達の未来に関係する重大な質問を。


「それじゃあ、憂ちゃん……。
私、今からごはんの用意をするけど、その前に一つだけ質問してもいい?
ちょっと急に気になっちゃって……」


「うん、どうしたの、梓ちゃん?」


「憂ちゃんは、受験はどの高校を受けるつもりなの?
唯さんも居る事だし、やっぱり桜高?」


「うん、そのつもりだよ。
やっぱり、お姉ちゃんの事が気になるし、でも、それだけじゃなくて、
律さん達みたいな素敵な人達が居る高校だし、桜高に入りたいなって思ってるんだ。
桜高ならいつでも好きな時にお姉ちゃん達の演奏を聴けるかもしれないしね」


「そうなんだ……。
うん……、やっぱりそうだよね……」


「梓ちゃんは何処を受けるつもりなの?」


「一応……、ね?
桜高を受けようかと思ってるんだけど……」


「梓ちゃんも?
だったら、、ひょっとしたら一緒のクラスになれるかもね。
それで、もしも私と梓ちゃんが同じクラスになれたら、その時は……。
その時の私達は……」


「うん……、その時、私達……」


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