過去ログ - 梓「サナララ」
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32:猫宮[saga]
2012/08/12(日) 18:21:48.79 ID:c6PyoOrH0
「うん、そうだね……。
夢や叶えたい事が無いわけじゃないけど、
それが一生に一度のお願いでいいのかって言われると正直悩んじゃうし……。
あ、そうだ、一つ気になる事があるんだけど、訊いていいかな?」


「何? 私に答えられる事なら何でも訊いて」


「一生に一度のお願いって、どれくらいの事なら叶えてくれるの?
何でも叶えてくれる……って言っても、流石に無茶過ぎるお願いは駄目なんじゃない?
例えばだけど、世界征服って願えば叶えてくれるものなの?」


「世界を征服したいの、梓ちゃん?」


「いやいや、単なる例えだってば」


「あははっ、そうだよね。
うーん……、どうなんだろう……。
詳しくはお願いしてみないと分からないんだけど、多分無理なんじゃないかな?
今まで一度くらいそういうお願いをした人も居るかもしれないけど、
世界を征服するのってそんなに簡単な事じゃないって思うんだ。
ただ世界のトップに立つってだけじゃなくて、
世界の色んな人にトップとして認めてもらえないと世界征服って言えないと思うし……。
そのためには世界中の人の心を操らないといけなくなるよね?
でも、そういう人の心を操るようなお願いは、叶えてもらいにくいみたい。
前の『ナビゲーター』の人が言ってたんだけど、
そういう自分身の丈に合わない、他人に迷惑を掛けちゃうお願いはスルーされるらしいんだ」


「スルー……?
それはまた随分と適当なシステムだね……」


「うん、でもね、
「それでいいんじゃない?」って前の『ナビゲーター』の人は言ってたんだ。
「そういう無茶なお願いをする人は、
最初から一生に一度のお願いをする資格がなかったって事でしょ?」って。
大人の人の意見だよね。
うん……、本当に素敵な人だったなあ……」


なるほど、そういう考え方もあるのかもしれない。
身の丈に合わないお願いはスルーされる……。
そう聞いて私は逆にちょっと安心出来ていた。
そもそもそんな大き過ぎるお願いが私に出来るとは思わないし、
私じゃない誰かがそんな大きなお願いを叶えてもらってるって考えるのもちょっと怖いもんね。
身の丈に合ったお願いでいいんだよね……。
うん、それなら何とか考えられそう。
勿論、まだもう少し悩んでからだけど。

私は一人で小さく頷いて、平沢さんの瞳に視線を向けた。
まだ悩んでたいし、平沢さんともう少し話してたかったけど、
気が付けば夕陽がかなり傾いて、夏の終わりの宵闇が迫りつつあった。
門限もあるし、これ以上悩んでるわけにもいかないよね。
ちょっと申し訳ない気分で、平沢さんに訊ねてみる。


「ごめんね、平沢さん。
一生に一度のお願いなんだけど、何にするかもうちょっと悩んでみてもいいかな?
今日初めて聞いた話だし、いきなり一番いいお願いなんて決められそうにないんだよね……」


「うん、気にしないで、梓ちゃん。
私だって前の『ナビゲーター』の人と長い間悩んじゃったんだもん。
悩む気持ちはすっごくよく分かるんだ……。
それにね、梓ちゃんにとって一番いいお願いを見つけてくれた方が、私も嬉しいよ」


「ありがとう、平沢さん。
それで一生に一度のお願いなんだけど、お願いの期限とかあるのかな?
流石に何ヶ月も待ってくれるってわけじゃないよね?
私としてはその方が助かるんだけど、平沢さんの方はそうもいかないでしょ?」


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