過去ログ - 梓「サナララ」
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67:猫宮[saga]
2012/09/18(火) 19:19:29.68 ID:ut//4wCb0
私は何をしてるんだろう、って気にさせられた。
同時に思い出した。
私があの子に申し出をされてから、音楽を中断した理由を。
思い出さないようにしていた現実を、思い出さされた。
あの子と本当に演奏を続けたいなら、受験より何よりあの子を引き止めるべきだった。
それが出来なかったのは私が……、私の自分の実力が……。
私に才能があったなら……。

刹那、私の中に悪魔の囁きが響いた。
それとも、天使の誘い?
今の私には一つチャンスがある。
悪魔なのか天使なのか神様なのか、誰かさんが与えてくれたチャンスが。
だけど、それに頼るのは……。


「梓……ちゃん……?」


私が何も言わなかったのを不審に思ったんだろう。
憂ちゃんが首を傾げて、私の顔を心配そうに覗き込んだ。
やめて、と思った。
こんな私の顔を見ないで。
こんな惨めで情けなくてどうしようもなくて、
下手な誘惑に乗りそうになっちゃってる私の顔なんて見ないでよ……!

結局、「チューナーの電池が切れていたから」、
って苦しい言い訳で、私はその日のギターの演奏をやめさせてもらった。
どんなに苦しい言い訳だろうと、そうしないと、私の心が壊れてしまいそうだった。


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