過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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◆YHxtVKAHbw
[sage saga]
2012/08/01(水) 08:11:04.96 ID:BR3oCDRdo
続いて到着したのは吉原である。
なるほど、『みやび』は花魁だからか。
それにしてもこいつはどうやってこの主人公の性別をうやむやにするんだ?
謎は深まる。
「それじゃ、あそこの喫茶店で待ってるからソープランドってとこ行ってどんなサービス受けるのか実地体験してきて?」
いきなり爆弾投下しやがった!
「ただし、最後までやったら殺すから」
そういう問題じゃなくて!?
だいたい、そういうお店に行ってお姉さんとハダカになって入浴だけして帰ったら俺自身いろんな意味で耐えられないんですけど!?
そもそも、そういうお店に出せるほどの大金なんて持ってきてねーし!?
「──桐乃、訂正だ。万単位の金銭の協力も俺には無理だ」
すると桐乃は気味悪くなるくらい満面の笑みで、
「昨日『妹空』増刷の印税の振込みがあったから取材費用なら出すよ?」
……クリスマスの取材では俺の金で一万のピアス買わされたのにいったいどういう心境の変化だ?
まあ、金の心配しなくていいのなら、喜んで突撃取材に──
「行かねーよ!!」
「江戸城攻撃シーンもダメ、泉岳寺爆破シーンもダメ、吉原遊郭シーンもダメ。全く取材にならないじゃん」
さっきから桐乃がブツブツ言ってるが、俺は爽やかに無視する。
ていうか、お墓にロケット花火打ち込むだけでなく寺そのものまで破壊するなんて大それた事を考えていたのか、こいつは?
ちなみにソープランドに俺を行かせようとしていたのは、主人公『みやび』の普段の仕事を書きたかったかららしい。
本当にこれでどうやって性別をうやむやにするつもりだったんだ?
野郎言葉の遊女なんて絶対に萌えないぞ?
しかし、不思議な事に桐乃の脳内ではこれでもしっかりと整合性は取れているらしい。
そもそも、遊女のお仕事シーンなら客の立場ではなく実際に働いている立場で取材した方がいいんじゃないだろうかとも思うが、それは俺的に絶対にやらせない(さっき「仕方無いからちょっとあたしが面接受けてくる」と言うので、年齢的にアウトだ、小説の取材のために下手したら店一つ潰すことになる、となんとか思い留まらせた)。
言い忘れたが、ここは喫茶店である。
俺はコーヒー、桐乃は紅茶を飲んでいる。
店内には俺たちの他にこれから出勤なんだろうとおぼしきお姉様方が何人かいる。
実は俺は何度も桐乃に取材メモとかを見せろと言っているのだが、クリスマスの時と違って頑なに拒否されている。
これじゃあ協力するにも何も出来ない。
「そうだ!」
何やら桐乃の脳内ランプが点灯したようだ。
桐乃はいきなり立ち上がり、店内を歩く。
目指すは気だるそうに煙草をふかしているお姉さん。
「あの、済みません! ちょっと質問なんですけど、お姉さんは何のお仕事──」
この時の俺のダッシュスピードは間違い無く陸上選手の桐乃よりも速かっただろう。
俺は素早く桐乃の背後に駆け寄り、片手で桐乃の片腕を羽交い絞めし、もう片方の手で桐乃の口を塞いだ。
「いやー、何でも無いっす! いま起こったことはきれいさっぱり忘れてください!」
じたばたしながら「むー、むー!」と叫ぶ桐乃を引きずって元の席に戻る。
お姉さんは当然のことながら口をポカンと開けていた。
「何すんのよ!?」
「それはこっちのセリフだ! お前何やろうとしてたんだ!?」
「見て分かんない!? インタビューに決まってんじゃん!」
見て分かったからこそ止めたんだがな!
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