過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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或るモデルの自覚
◆ebJORrWVuo
[sage saga]
2012/08/12(日) 01:59:15.80 ID:0Jlxs+tGP
わたしは新垣あやせ。一応、モデルとして仕事をさせて頂いている女子中学生。
そんなわたしが今、どこに居るかと言うと……。
「〜♪」
一人暮らしをしている男性の家に居ます。
しかも自前のエプロンを持参で、料理を作りにきていたりします。
特にお金を貰っていたりする訳じゃありません。
更に言うと、この男性、わたしの彼氏、という訳でもありません。
「〜♪ 〜〜♪」
じゃあ、なんでこんな状況になっているかというと……。
詳しく言うと長い話になってしまうので簡単に言います。
この男性……高坂京介さんは、わたしの親友である高坂桐乃のお兄さんで、親友である桐乃にお願いされてしまったので、嫌で嫌で仕方ないんですけど、こうして京介さんの面倒を見ている訳です。
「……なんだか、あやせ、楽しそうだな?」
わたしが料理をしていると、後ろからお兄さんが声を掛けてきました。
あ、お兄さんというのは京介さんの事です。
わたしが京介さんをお兄さんと呼ばせていただいているので、お兄さんと言ったら京介さんと考えておいてください。
「そ、そんなコトないですよ? こんなところで貴重な時間を費やしてしまって内心苦痛しかありませんからっ!」
「……それは、悪かったな」
「い、いいえ、大丈夫です。桐乃のお願いですし」
しまった、ついお兄さんに酷いことを言ってしまいました。
フォローもフォローになってない気が……。
ちら、と視線を後ろにやると、頭を掻きながら勉強机に戻っていくお兄さんの姿が。
心なしか肩を落としてます。やはり傷付いてるんでしょうか。
んー。言いすぎてしまいました、よね?
これで落ち込まれて勉強に支障が出てしまっては世話係として失格です。
桐乃に信頼されて頼まれているというのに。
…………仕方ないですよね。
これは、お兄さんを励ます為だけですから。
決して、他の意図とかありませんからっ!
殆ど出来上がってる具材を、小皿に移して、いそいそとお兄さんの元へと。
「……ん、どうした? 何か足りなかったか?」
「い、いえ。その、お、お兄さん?」
「なんだ?」
「あ、あーんしてください」
「ぶっ!」
思いっきり吹き出すお兄さん。
……何ですか、その態度。気に食いませんね。
言い方が変だったんでしょうか。
「わ、わたしが食べさせてあげますから、あーん、ってしてくださいねっ」
「い、いや、分かる、分かるけど、分かんねえよっ!」
どうもお兄さんが錯乱しているようで、何やら悟りを開いた人のような良く分からない事を言い出しました。
「……もしかして、わたしが食べさせてあげる事が嫌なワケじゃないですよね?」
「た、食べます、食べさせてください!」
ようやく素直になってくれました。
でも、わたしが想定していた反応とは大分違うんですが……。
もっと、こうドキドキなシーンだと思ったんですけど……。
べ、別にそういう反応を期待していた訳じゃありませんから!
で、でもなんだか寂しいじゃないですか。
こう、あーんとしてるシーンで、相手が怯えた囚人のような表情を浮かべられると。
…………あ、そうだ。
「あ、待ってください。今、この人参はお兄さんに一瞬でやけどを負わせる事が出来る温度ですから、冷ましてあげます」
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