過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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或る兄妹の別れ 1/10
◆ebJORrWVuo
[sage saga]
2012/08/18(土) 00:02:06.67 ID:w9Y/glPqP
「京介、お前は一人暮らしをしろ」
そう言われて。
両親にそれぞれ理由を言われて。
実のところ、納得はしてなかったが、しかしお膳立ては済んでて。
それに一人暮らしってのも結構悪くないと思ったのもあって、俺はその提案を受け入れた。
ただ、桐乃は最後まで受け入れる姿勢を見せなかった。
俺達から視線を逸らして。
嫌な顔をして見せて。
そして、「じゃーね、ばいばい。ずっと帰って来なくてもいいよ」だ。
それで、俺はムカッとしたし、一人暮らしすれば妹の顔を見ずにすむぜ、とせいせいした気になった。
だが、考えてみれば、あいつは、俺が一人暮らしをする事を反対していた。
いや、少し違うな。
俺がこの家を出ていく事に納得していなかった。
そう、そういう感じだ。
しかし、考えてもみれば、桐乃にとってもそう悪い話じゃない筈だ。
俺が居なくなれば、二階は桐乃だけの空間になる訳で。
好きなようにゲームだって出来るし、音楽だってボリュームを気にせず聞けるだろう。
そもそも、俺が怒るならまだしも、桐乃が怒る理由なんてない筈だ。
怒る……。そうだ、桐乃は怒っていた。
親父に、お袋に……そして俺に。
戻ってくる条件がそこにあって、それを達成すれば戻ってこれる。
離れるのは最短で二ヶ月ちょっとだけだ。
それでも桐乃は怒っていた。
何に?
俺が戻ってくる事に?
違うな、その条件を提示する前に、桐乃は怒っていた。
俺をこの家から追い出すというその提案自体に。
それは……何でだ?
俺は、桐乃の部屋の前まで来ると、扉をノックした。
あの家族会議の後、桐乃は自分の部屋に閉じこもってしまった。
この分だと明日の朝まで、部屋から出てきそうにない。
……しかし、俺がここを出ていくと決まってしまった以上、俺と桐乃が話せる時間はそう多くない。
両親の意見からして基本、俺の一人暮らし先に桐乃は来れない筈だ。
さすがに電話もメールも一切禁止とまでは行かないだろうが、直接的には会えないかも知れない。
それは……、少し寂しいと思う。
こう仲違いした侭、家を離れるというのは避けたかった。
だから俺は、桐乃が部屋から出てくるまでノックをし続ける覚悟でノックをした訳だが。
「……入って」
思いの外、直ぐに桐乃から返事が来た。
「入るぞ」
ドアノブを回して、桐乃の部屋に入る。
「うわ、暗っ! なんで真っ暗なんだよ」
「……別に良いでしょ。ほら、そこに座って」
「いや、電気ぐらい点けようぜ?」
「いいから。早く、座れって言ってんの」
うわ、桐乃の奴、滅茶苦茶不機嫌でやがる。
不機嫌な癖して、部屋には招き入れる矛盾。
まさかまた無茶難題を押し付けるつもりじゃねえだろうな。
ドアからの灯りで辛うじて見慣れたクッションが床に見えた。
そこに座ろうとした所で、桐乃から言葉が飛んだ。
「ドアぐらい閉めなさいよ」
「え、だって、これ閉じたら本気で真っ暗になるだろ」
「何、真っ暗なのが怖いワケ?」
「そういう問題じゃなくてだな」
なんで起きてんのに真っ暗で二人して部屋に篭らないといけないんだよ。
ちっ……と舌打ちが聞こえて、パソコンのディスプレイが光る。
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