過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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63: ◆6U1bthnhy6[sage]
2012/07/23(月) 12:14:54.54 ID:wy3PFF5DO
「その・・・きょ、京介が、その・・・ひ、一人暮らしするんなら・・・あ、あたしも・・・ついていっちゃおっかなー・・・なんて」
「はあっ!?」
「な、なによ?」
「お前・・・なに言ってんの?」
そう。ホントになに言ってんの、だ。
俺は今からほんの一か月前、受験勉強のため一人暮らしをさせられていた期間があった。
しかしそれは名目上受験の為だが、その実、急激に仲良くなり過ぎた俺たち兄妹の仲を、おふくろが勘ぐっての措置というものであった。
結局は笑い話に過ぎなかったのだが、それでもこのタイミングで俺と一緒に住むのはどんな藪蛇になるかわからない。
どこにも蛇など潜んでないとしてもだ。
「そんなこと、許されっこねーだろ?」
「わ、わかんないじゃん!お、お父さんに頼んでみるとか・・・」
「いやそれこそ無理に決まってんだろ。大体なんで一緒に住まなきゃなんないんだよ?」
「そ、それは・・・その・・・」
言いかけて黙ってしまう桐乃。
まったく何を言い出すかと思ったら・・・あ、まさか・・・。
「おい桐乃」
俺は思い至った理由に、内心でため息をついた。
「な、なに?」
「正直に答えろよ?」
「!!う・・・うん」
桐乃が少し身構える。
まったく困ったやつだ。
以前なら俺と一緒に住むなんて心から嫌だっただろうに、今となったらそれすら厭わないとは。
人間変われば変わるもんだぜ。
「お前俺と一緒に暮らしたい理由って、実は・・・」
「っ!!」
一瞬桐乃が息をのんだ。
「・・・ちょ、兄貴ストップ!」
「なんだよ今更?ここまで言わせて止めんなよ」
「や、だ、だっては、はっきり言われたらあたしの気持ちが・・・」
「わかるぜ桐乃。・・・俺だって同じ気持ちだからな・・・」
「・・・え?」
驚いたように動きを止める桐乃。
その目は信じられないものを見るように大きく見開かれている。
ったく。
お前の兄貴を舐めんなっての。
俺は一呼吸置くと、静かに微笑んだ。
「お前の気持ちはよくわかったって言ってんだよ」
「!?そ、そそそそそれって・・・!」
「ああ」
俺は一つ頷くと、ゆっくりと桐乃の頭に手を乗せた。
「俺も同じ気持ちだ」
「〜〜〜〜〜〜っ!?」
桐乃は顔を真っ赤にさせて二の句が継げなくなっている。
まあそうだろうな。
自分の目論見すべてを見抜かれちまったんだから。
「桐乃?」
「はははひゃい!?」
「・・・一緒に暮らすか?」
「っ!!!!」
もはや湯気でも出しそうなほど真っ赤になっている桐乃に笑いかける。
そんなに嬉しがられたらこっちまで嬉しくなるじゃないか。
「親父には俺から頼んでみる。俺の監視役って名目にすれば、納得してくれるだろうよ」
俺は先の一人暮らしで親父に書かされた、取得物報告書を思い浮かべた。
あの不本意ながらヒモみたいな取得物の多さを鑑みれば、親父も俺に監視役は必要だと思うだろう。
まったくもって冤罪ですけどね!
まあいいさ。
それで桐乃が喜ぶ状況が作れるなら、甘んじてヒモの烙印も背負うさ。
「ああああ兄貴?」
「ん?」
「ほ・・・本当に・・・いいの?」
見ると桐乃は両手の指を絡ませて、所謂もじもじと言った感じで俺を上目遣いで見上げていた。
俺は軽くため息をつくと、またクシャリと桐乃の髪を撫でてやった。
「ああ」
「!!あ、ありがと・・・」
そう言って笑った桐乃の笑顔は、本当に嬉しそうで、俺はこう思ったね

―――――――俺の妹がこんなに可愛いわけがない・・・ってな。




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